中古スマホはちょっと気持ち悪い...というイメージは過去の話。最近はプロがクリーニングや整備を行ない、安心して使えるうえ、型落ちで未使用のものも出回っている。サブ機として2台目を購入、仕事とは別の趣味用に使う人が増えている。
その中古スマホは、どれが人気なのか。伊藤忠商事の100%子会社のBelongが運営する、中古スマホの小売・卸売専門の「にこスマ」(東京都港区)が2023年3月23日、「【2022年度】中古スマホ販売数年間ランキング」を発表した。
それによると、iPhone8が2年連続トップに輝き、ベスト10位をiPhone勢が独占した。どうしたAndroid勢?
マスク着用でも「顔認証OK」の高い機種より、安い「指紋認証」で十分
「にこスマ」の調査によると、前年(2021年)度から引き続き、iPhone8やiPhoneSE(第2世代)など、TouchID(指紋認証)のiPhone勢が多数ランクインした(カッコ内はストレージ容量、税込み平均販売価格、価格の対前年比増減)。
1位iPhone8(64GB、2万722円、マイナス1048円)、2位iPhoneSE(第2世代・64GB、3万4076円、マイナス3193円)、3位iPhone7(32GB、1万4789円、プラス247円)、4位iPhoneSE(第3世代・64GB、4万9791円、前年同)といった案配だ【図表1】
「にこスマ」の担当者によると、指紋認証機能を搭載している機種の人気の一因として、コロナ禍のマスク生活で、指紋認証の利便性が評価されたことがあげられる。
2022年3月にiPhone12シリーズ以降のFaceID(顔認証)搭載機種では、マスク着用時でも顔認証が可能になったが、「高い性能は必要ない」「価格の安さを重視したい」というニーズのほうが高かったと考えられる。
一方で、iPhone11やiPhoneSE(第3世代)など、比較的新しい機種の需要が高まっており、昨年11月以降の月間ランキングでは、iPhone12シリーズもトップ10にランクインしている。
2022年7月に記録的な円安の影響を受け、国内のiPhoneシリーズがいっせいに値上げされた。Apple製品の値上げにより、新品購入の検討層が中古の購入を選択肢に入れはじめた結果、比較的新しい機種の購入が拡大して、中古スマホ市場にでも世代交代が進んでいるという。
新品でも2、3万円のAndroidは、「どうせ買うなら新品で」
ところで、Androidスマホは、「にこスマ」の月間ランキングにはたびたび登場するが、今回、年間ランキングのベスト10にランクインしなかった。そこで、「にこスマ」ではAndroidスマホに限定した販売数年間ランキングも発表している(カッコ内は税込み平均販売価格、税込み新品発売時価格)。
1位らくらくスマートフォンmeF-03K(1976円、3万8880円)、2位XperiaXZ2(9327円、9万4608円)、3位XperiaXZ1Compact(6905円、7万7760円)、4位AQUOSsense2(6622円、2万9800円)といった案配だ【図表2】。
iPhoneと比べると、全体的に単価が低く、1万円前後で購入できる機種が人気の中心になっていることがわかる。Androidスマホは、新品でも2、3万円で購入できる機種があることから、新品価格の高いiPhoneに比べ、「どうせ買うなら新しいスマホを」という人が多いため、中古市場にランクインできなかった可能性があるようだ。
ICT市場専門のコンサルティング「MM総研」(東京都港区)によると、2021年度の中古スマホ販売台数は212万台(前年度比14.6%増)で、過去最高を記録した。中古スマホ市場は年々拡大しており、2026年度には342万台に達する見込みだという。
なお、「にこスマ」の調査は2022年4月1日~2023年3月14日、中古スマホ商品の販売実績を分析した。(福田和郎)