イオンの株価が2023年4月13日の東京株式市場で一時、前日終値比80円(3.1%)高の2674円まで上昇した。
終値も4日連続値上がりとなり、1月につけた年初来高値(2776円)の更新も視野に入ってきた。4月12日に発表した2023年2月期連結決算で明らかになった業績改善の内容が投資家に好感され、買いが集まった。
約5000品目の大半で価格据え置いた「トップバリュ」製品 売上高約9000億円で過去最高
決算内容を確認していこう。売上収益(売上高)は前期比4.6%増の9兆1168億円で過去最高を更新した。国内の小売業としては、首位のセブン&アイ・ホールディングスの11兆8113億円(2023年2月期)に次ぐ水準だ。
営業利益は20.3%増の2097億円。経常利益は21.9%増の2036億円、最終利益は3.3倍の213億円だった。
主力のGMS(総合スーパー)事業が3期ぶりに営業黒字に転換したことなどが全体を押し上げた。GMSは売上高が前期比0.7%減の3兆2690億円。営業損益は140億円の黒字(前期は20億円の赤字)だった。
業績改善を支えたのは、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」の躍進だ。円安や原材料費の高騰によってナショナルブランドの商品が軒並み値上げを続けるなか、2021年9月に価格凍結を宣言した食料品や日用消耗品計約5000品目の大半で価格を据え置いたことが、新たな顧客の獲得と購入のリピート化につながった。
トップバリュの売上高は約8%増の約9000億円で過去最高。物価高のもと、抑制できる費用は抑制したい、という消費者の「生活防衛意識」を取り込むことに成功した。
小売業者にとってPBはナショナルブランドに比べて利益率が高く、価格据え置きの「耐久力」も高い。イオンは2024年2月期のトップバリュの売上高目標を1兆円とし、さらに伸ばす方針だ。