米バイデン政権「このタイミングでの減産は賢明ではない」 失望感を露わに
今回の追加減産は、実際の原油相場への影響もさることながら、国際政治に大きなインパクトを与えた。米バイデン政権は減産決定を受け、「このタイミングでの減産は賢明ではない」と伝えていたことを明らかにし、失望感を露わにした。
サウジは3月に、中国の仲介で「宿敵」ともいえ、事あるごとに対立してきたイランとの国交を正常化した。減産は、これに続き、中東における米国の存在感の低下を改めて印象付けた。
当面の原油相場は、欧米などの景気減速懸念、特にここにきての一部銀行の経営破綻に伴う金融不安への懸念が広がっていることもあって、上値の重い展開を予想する向きが多い。
それでも、米国の産油国への影響力低下が鮮明になるなか、今後の原油相場は不透明感を増している。
(ジャーナリスト 白井俊郎)