従来方針の据え置き予想が一転、不意を突かれ...WTI先物、22年11月以来の一時1バレル=83ドル台と高値に
実は、OPECプラスは今回の決定翌日の4月3日に合同閣僚監視委員会(JMMC)開催が決まっていた。
ここでは2023年末まで日量200万バレル減産という従来方針を据え置くと予想されていた。その前日に行われた追加減産の発表に、市場は不意を突かれたかっこうになった。
発表を受けた4月3日の米ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油相場は急騰。米国産標準油種(WTI)の先物は、一時、1バレル=81.69ドルと1月下旬以来の高値を付け。
その後も、一時、22年11月以来の83ドル台を付ける場面もあったが、米国を中心とする景気の減速予測などとの綱引きで、おおむね80ドル台前半での取引が続いている。
WTIはロシアのウクライナ侵攻に伴い、22年6月に1バレル=120ドル超に高騰したが、欧米のインフレ対策などで80ドル程度まで下落。
秋以降は、前記の通りOPECプラスが減産に動いたが、各国の景気減速や、ロシア産原油への取引価格の上限導入といった対ロシア制裁の効果もあって、下落基調が続き、23年3月には一時、60ドル台を付けるなど低迷していた。
この価格レベルは、産油国には受け入れがたいものだ。
国際通貨基金(IMF)の推計では、2023年の産油国の財政収支が均衡する原油価格は、サウジが66.8ドル、UAEが65.8ドルだが、他の主要7か国平均は84.8ドルになるという。これを下回れば産油国経済を直撃するわけだ。