個人向け「個別株価連動型」公募仕組み債の販売は「ゼロ」
仕組み債の販売状況を種類別にみると、公募仕組み債の個人向けは、「個別株価連動型」が2022年3月末時点に14行が取り扱っていたが、同11月末では「ゼロ」。「株価指数連動型」では53行から3行に大きく減少。「為替連動型」も34行から、わずか3行に減少した。
私募仕組み債の個人向けをみても、「個別株価連動型」は22年3月末には59行もの地銀が取り扱っていたが、それが8行まで減少。「株価指数連動型」は70行から14行に減らし、「為替連動型」も58行から14行に減った。
法人向けについても、【図3】のように、多くの地銀が販売を停止したことがわかった。
さらに金融庁は、行融商品の販売態勢の向上に向けた工夫についても聞いた。
「顧客の最善の利益の追求」や「顧客の資産形成」に関し、経営陣や本部は「どのような顧客に対し、どのような行融商品・サービスを提供し、どのような付加価値を提供することが行融機関の役割である」との明確な考えがあるか(n=100)との問いに、「明確な考えがある」と答えた地銀は95行、「明確な考えがない」は5行だった。
営業現場が「顧客の最善の利益の追求」等に向けて行動するに当たって、金融庁は
「中期経営計画のリテールビジネス戦略と取り組み方針などとを整合させるなど、経営・本部・営業職員の間で考えを一致させることが重要である」
としている。
また、証券会社と提携もしくは傘下に証券会社を有する持株会社・銀行に、足もとの状況を踏まえて、証券会社の投資勧誘方針やビジネスモデルなどの見直しの検討・議論を行っている(行う予定である)か(n=74)と聞いたところ、「検討・議論している」と答えた地銀は68行、「検討・議論していない」は6行だった。
もっとも、組み債の販売停止や市況などの影響から、グループ証券会社の収益が減少。金融庁は「顧客本位の業務運営を実践する観点から、証券会社を含めた銀行グループ全体の持続可能なビジネスモデルの再構築が必要である」と指摘している。調査結果を今後の取り組み方針の策定や見直しに役立て、顧客本位の業務運営に取り組むように促している。
なお、調査は地域銀行100行(埼玉りそな銀行含む)を対象に、「リスク性金融商品の販売・管理態勢の現状等」を聞いた。2022年12月5日~23年1月13日に実施。
◆参考記事
「高リスク金融商品『仕組み債』 トラブル相次ぐ...金融庁が問題視、金融機関は相次ぎ販売停止 問い直される『顧客本位』」(J-CAST 会社ウォッチ 2023年1月31日付)