反撃のトヨタEV...3年後は150万台の意欲目標! 佐藤恒治社長・新体制のもと、「EVファースト」事業体制へ「変革」始まる

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   トヨタ自動車が新たな電気自動車(EV)の戦略を発表した。2026年に年150万台の販売を目指すという意欲的なものだ。

   EV専業の米テスラのほか、欧米や中国の自動車メーカーがEVシフトを進めるなか、EVでの出遅れも指摘されてきたトヨタが、いよいよ本格的に事業体制を整えて反撃にうって出る。

  • 佐藤恒治社長。トヨタ新体制方針説明会(プレスリリースより)
    佐藤恒治社長。トヨタ新体制方針説明会(プレスリリースより)
  • 佐藤恒治社長。トヨタ新体制方針説明会(プレスリリースより)

22年の世界EV販売、約2万台のトヨタは27位 1位は131万台のテスラ

   約14年ぶりの社長交代で創業家出身の豊田章男会長から2023年4月1日付でトップを引き継いだ佐藤恒治社長が7日、東京都内で今後の方針に関する説明会を開いた。

   調査会社マークラインズによると、2022年の世界のEV販売は780万台(自動車販売全体の約10%)だった。テスラが前年比4割増の131万台でトップ、中国BYDが80万台、以下米ゼネラルモーターズ(GM)、独フォルクスワーゲン(VW)などが続く。

   トヨタは約2万台で27位。初の専用EVである「bZ4X」を投入したもののリコールを届け出るなどもあって、順調とはいいがたい状況にある。

   J-CAST 会社ウォッチ「トヨタEVシフト 『本気度』をアピールも350万台目標に世界はさらなる上積みを求めるかも......」(2021年12月31日付)で報じたように、トヨタは2021年末、2030年にEVを30車種そろえ、世界で年350万台販売する目標を発表済みで、今回の「26年に年150万台」は、その中間目標という位置づけだ。

主戦場・米国では25年にSUVタイプEV生産開始、26年に20万台の生産体制、電池工場も新設

   もっとも、この数字はかなり意欲的だ。

   単純計算で販売台数を4年で60倍に増やすことになり、現在のトップメーカーであるテスラに匹敵する規模と考えれば、目標の大きさがわかる。

   そのために、今回、佐藤社長は「2026年までに新たに10モデルを投入」と表明し、現在のEV専用3車種から大きく増やす考えを示した。中国では24年に現地開発で2車種を加え、新興国でピックアップトラックや小型EVを出すなど、現地のニーズに対応する方針だ。

   なかでも主戦場になる米国では、ケンタッキー州の主力工場を改修し、スポーツ用多目的車(SUV)のEVの生産を25年から始め、26年には20万台の生産体制を目指しているとされる。電池工場も新設する計画だ。

次世代EV開発の専門組織を新設 環境車の「全方位戦略」は継承

   全社でEV推進に向けた事業体制整備にも乗り出し、次世代EVを開発する専門組織を新設するとともに、生産体制も刷新する。

   たとえば、bZ4Xは車台(プラットホーム)をハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)と共有化できる仕様にしているが、EV専用車台として生産・開発の効率化を目指すことになるとみられる。

   社長交代発表後の23年2月、佐藤氏は会見で「EVファーストの発想で事業のあり方を大きく変えていく」と述べた。

   ただ、4月7日の説明会では、内燃機関やHV、燃料電池車(FCV)、水素エンジン車も重視する「全方位戦略」を継承する考えも改めて確認している。全方位の中でのEV強化ということでは、従来方針通りということになる。

米国はじめ世界の潮流は厳しい環境規制 外部環境の変化の中でどう戦う?

   とはいえ、世界のEV化の流れは加速している。

   米国で2022年に成立したインフレ抑制法で、EVを新車で買う場合、約100万円の税控除が受けられることになった。だが、対象は北米で組み立てた車だけとされ、日本メーカーは現地生産を増やさざるを得ない。

   さらに4月12日に米政府は、自動車の新しい環境規制を発表。自動車メーカーに対し、二酸化炭素(CO2)排出量を2027年から段階的に50%程度削減するなどの厳しい基準を設ける方針を示した。メーカーごとにCO2排出量の許容基準を設ける方式になるといい、メーカーはEVを増やすことを迫られる。

   こうした外部環境の変化の中で、トヨタの動向から、いよいよ目が離せない。(ジャーナリスト 済田経夫)

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