金融教育「ある」人は、金融経済情報をよく見る傾向
次に、金融教育の受講経験の有無や受講の時期が、「資産形成にどのような影響を与えているのか」と聞いた。
まず、資産形成への関心度を調べるため、金融経済情報を見る頻度を聞いたところ、回答者全体でみると「ほぼ毎日」見る人は20.2%だった。次いで「週に1回程度」見る人は19.3%、「月1回程度」が11.6%、「月1回以下」が49.0%と約半数にのぼった。
受講経験が「ある」人は、「ほぼ毎日」見ている人が25.2%、「週に1回程度」の人が24.5%とそれぞれ上昇し、「月1回以下」が36.0%まで低下した。
一方、受講経験が「ない」人では、「ほぼ毎日」と答えた人は18.4%となり、「月に1回以下」が53.8%と5割を大きく超える結果となった。金融教育の受講経験の有無によって、かなり差があった。
また、受講した時期別にみると、金融経済情報を見る頻度が最も高いのは、「小学校に入る前」に金融教育を受けたことがある人で、「ほぼ毎日」が32.6%、「週に1回程度」の34.1%となっている。
このように、金融教育の受講経験が「ある」人は、金融経済情報に接する頻度が高く、知識も豊富なことがわかった。三井住友信託銀行は、「金融教育は、資産形成に対する意識・関心を高める方向に働いていることが明らかである」とみている。
さらに、資産形成に向けた実際の行動として、「老後資金の準備」をみると、回答者全体では53.8%の人がすでに準備を「開始している(開始済み)」と回答した。
これを老後資金の準備を開始した年齢でみると、20歳代が13.0%、30歳代で12.5%、40歳代13.4%、50歳代は11.5%とほぼ均等で、60歳代になってから始めた人は3.4%と少数派だったことがわかった。「未開始」は46.2%だった。
金融教育の受講経験が「ある」人では62.8%が準備を「開始済み」で、開始時期で最も多いのは20歳代の19.8%。30歳代が14.8%、40歳代は14.9%と、40歳代までに49.5%が開始していた。いわゆる定年退職が近づく前から、老後資金の準備に着手する人も少なくないようだ。
これに対し、金融教育の受講経験が「ない」人は、老後資金の準備の「開始済み」は50.4%にとどまり、20歳代で開始した人は10.4%、30歳代で11.6%と、30歳代までに始めた人は合わせても22.0%で比較的のんびりしていることがわかった。