「10年ぶり交代」日銀総裁 黒田東彦氏、植田和男氏...2人の会見から見えた「異次元緩和」とらえ方の「違い」

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植田氏の就任会見、金融政策の「副作用」にも言及 「2%目標」は達成時期の明言避ける

   後任の植田氏は週明け4月10日、首相官邸で岸田文雄首相から辞令を受け取って会談した後、日銀本店で就任会見を行った。

   黒田氏の退任会見を受けるかたちで「デフレでない状況を作り出してバトンタッチしてくれたことはありがたい」と感謝したうえで、異次元緩和を基本的に継続すると明言した。

   ただ、黒田氏と明確に違ったのが、植田氏が会見で政策の「副作用」に繰り返し言及したことだ。

   マイナス金利や長短金利操作といった異次元緩和の骨格となる金融政策についても「副作用もある」「メリットと副作用を比較していく」と指摘。副作用がメリットを上回る場合、政策修正に踏み切ることにも含みを残した。

   2%目標についても賃金上昇など達成に向けた好条件が揃いつつあると認める一方で、「簡単な目標ではない」と述べた。

   黒田氏にように期限をくぎって達成時期を明言することは、明確に否定したかたちだった。植田氏の任期中に目標達成が視野に入れば、異次元緩和を縮小する「出口」に向けた議論が本格化する。

   だが、出口は議論をしただけで市場にハレーションを起こしかねない難問だけに、そうした警戒感から植田氏の口を固くしているようだ。

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