コロナが落ち着きを見せ、久しぶりに行動制限がない今度の夏休みは、バカンスを楽しめそうだが、先立つモノが...。
そんななか、民間シンクタンクの三菱UFJリサーチ&コンサルティングとみずほリサーチ&テクノロジーズの2社から「夏のボーナス予想」が発表された。
それぞれ、過去十数年で最高水準クラスのボーナスが期待できそうだという。
2年連続で高めの伸び、本格的な回復続く予想
まず、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主席研究員小林真一郎氏と研究員丸山健太氏の調査リポート「2023年夏のボーナス見通し~コロナ禍の影響は一段と和らぎ、本格回復が続く~」(4月10日付)によると、2023年夏のボーナス予想はこうだ。
民間企業(事業規模5人以上)の1人当たりボーナスは平均40万276円で、前年比プラス2.8%と、2年連続で高めの伸びが見込まれ、本格的な回復が続くと予想する【図表1】。
リーマンショック直前の2008年以来、15年ぶりに40万円を超えるとみられる。コロナ禍の影響が一段と和らいだことに加え、良好な企業業績と雇用情勢がボーナスの増加要因だ。
製造業の1人当たり支給額平均は53万9565円(前年比プラス2.4%)と、コロナ前ピークの2018年を上回り、過去最高水準を更新しそうだ。大企業を中心に円安が業績を押し上げたかたちだ。
非製造業の1人当たり支給額平均は37万3217円(前年比プラス3.1%)の見込みだ。宿泊業や学習支援業など、回復が遅れていた対面サービス業を中心に、こちらも増加が予想される【再び図表1】。
一方、国家公務員(管理職および非常勤を除く一般行政職)の1人当たりボーナスは平均63万7400円で、前年比プラス9.0%と大幅に増加する見込みだ【再び図表1】。これは、2022年度人事院勧告で、国家公務員の月例給が増額された。また、昨夏の公務員ボーナスが、給与法改正の成立が遅れて減額調整された特殊要因があり、その反動もあって高めの伸びとなった。
民間・公務員あわせたボーナス支給総額、前年比プラス3.3%増加見込み...コロナ前の19年上回る
もう1つ、みずほリサーチ&テクノロジーズの主任エコノミスト風間春香氏の調査リポート「2023年夏季ボーナス予測 高い春闘賃上げ率を背景に2年連続で増加」(4月11日付)によると、2023年夏のボーナス予想はこうだ。
民間企業(事業規模5人以上)の1人当たりボーナスは平均39万6285円で、前年比プラス1.8%と、2年連続の増加を予想する【図表2】。
2023年春闘で、連合の試算では前年比プラス3.7%と、近年にない高い水準での賃上げ率が実現したため、基本給部分にあたる所定内給与の伸びが加速したことが背景にある。
ただし、支給月数に半年ほど先行する傾向がある企業収益が、2022年度下期では弱含みだったため、2023年夏の支給月数は横ばいにとどまる見込みだ【再び図表2】。
一方、公務員(国と地方)の1人当たりボーナスは平均73万1214円で、前年比プラス11.3%と大幅な伸びを予想する。これは、給与法改正の成立が遅れたという昨年の特殊要因により、減額調整されていた反動の面が大きい【再び図表2】。
この結果、民間・公務員合わせたボーナス支給総額は18兆7320億円となり、前年比プラス3.3%増加する見込みだ。これはコロナ前ピークだった2019年の18兆1380億円を上回る規模だ【再び図表2】。
5月8日には新型コロナの感染法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更され、経済活動が本格的に正常化される。今夏は、コロナ禍が始まってから初めての行動制限のない夏休みとなる。花火や夏祭りなど各地で多くの行事が復活しそうだ。
みずほリサーチ&テクノロジーズの主任エコノミスト風間春香氏は、
「そうした状況下での賃金とボーナスの増加は、消費者マインドの改善にもつながり、夏場の個人消費は緩やかな回復が続く見通しである」
とコメントしている。(福田和郎)