とにかく面白い一冊! リーダーにすすめたい「東洋思想」

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   ビジネスと東洋思想――。どう結びつくかと思い、読み始めたら、とにかく面白い。

   本書「リーダーの悩みはすべて東洋思想で解決できる」(WAVE出版)は、人材育成のプロが書いた新時代のマネジメント論だ。実際の組織の問題に即して、孟子など東洋思想からの学びを紹介している。

「リーダーの悩みはすべて東洋思想で解決できる」(中村勝裕著)WAVE出版

   著者の中村勝裕さんは、上智大学外国語学部卒。ネスレ日本、グロービスなどを経て、タイで人事コンサルティングファーム、アジアン・アイデンティティーを設立した。

悩める営業課長を主人公にストーリー

   中村さんもタイで仕事を始めた当初は、チームをうまく動かすことができず、失敗の連続だったという。そんな中で出会ったのが、仏教、儒教、禅などの東洋思想だった。

   東洋思想の中で語られるリーダーシップは、力で人を動かすのではなく、より自然体で相手を受け入れ、その良さをうまく生かすことなのだと気がついたという。

   ビジネスの世界ではロジカルシンキングが重視されるので、すべてのことを言語化し、論理的にとらえようとしがちだが、人生には「答えのない問い」がたくさんある。

   そこで、相対性の視点で見る東洋思想の有効性を説いている。つまり、「何をするか(To Do)」ではなく、「どうあるべきか(To Be)」が重要なのだと。

   「どのように人を動かすか」「どのように人を育てるか」「問題社員をどう評価するか」など6つの章からなる。ユニークなのは、中堅機械メーカーの35歳の営業課長を主人公にしたストーリーをもとに、展開していること。こんな話だ。

   たとえば、業績立て直しのため、新任の課長は基本動作の徹底を厳しく指示した。しかし、うまくできない若手社員を叱責したところ、退職者が出た。「人を動かす」には、どうしたらいいのか、と悩む。

   古代中国の孟子が説いた、「覇道」と「王道」を引き合いに、人は報酬や叱責では動かない、と中村さんは説明する。そうした外発的動機づけでは、モチベーションは長く続かない。

「結果を出すために良かれと思って実行したコミュニケーション(叱責)が、外発的動機づけに傾きすぎたのかもしれません。メンバーとの距離の取り方に改善の余地がありそうです」

   そこで、相手を「変える」のではなく、相手の長所をいったん認めて、そこにプラスアルファで「加える」提案をすることを勧めている。

   ストーリーでは、課長は信頼する部下にメンバーの行動管理や実績の報告を一任するようになり、また、チームを「負けグセのついた組織」と一面的に判断するのではなく、違った角度から理解するように努めた。

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