過去のパフォーマンスは将来を保証するものではない
米国株が長期間にわたって好調だった主な要因には、米国企業の業績が急成長したことがある。
【図表3】の予想EPSの推移をみると、米国企業の業績が2012年あたりから、特に拡大していたことが確認できる。「この業績拡大が、米国株の株価を押し上げたといえるだろう」(前山氏)。
では、これからも米国株式に期待していいのだろうか――。前山氏は、「そのカギは、やはり米国企業の業績動向が握っている」と考えている。
今後も米国企業の業績の急成長が続くならば、中長期的に米国株は全世界の株式を上回って上昇し続ける可能性が高いとみられる。そのため、米国企業の業績の急拡大が続くことを期待して、予想するのであれば、「米国株に集中投資するのが最適な投資行動であるといえる」(前山氏)。
米国株は予想PER(株価収益率=利益から見た株価の割安性)が全世界の株式と比べて緩やかに上昇してきており、株高が許容されてきた面がある。【図表3参照】このように株高が許容されてきた背景にも、米国企業の業績の持続的拡大があるとみられる。
ただ、2022年後半から米国企業の業績拡大に陰りがみえる。
一時的な鈍化かもしれないが、これまでの急成長が終わりつつある可能性もあり、前山氏は「少しでも今後の米国企業の業績に疑念を持つのであれば、米国株だけでなく米国株以外にも分散投資したほうが無難である」として、こう説明する。
「米国企業の業績拡大が鈍化し、全世界の株式並みに落ち着くと、米国株はこれまでのように株高が許容されなくなる可能性もある。それゆえ、今後の米国企業の業績や株価には注意が必要であり、過去のパフォーマンスは参考値として、米国株に対して過度に期待しないほうがよいと考えている」
資産運用における過去のパフォーマンスは決して将来を保証するものではない。短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的に上昇する銘柄を仕込むチャンスと考えて投資するのがいいかもしれない。