ドライバーなどの長時間労働を規制するために、時間外労働に上限を求める、物流業界の「2024年問題」。物流業界では目下、2024年の働き方改革関連法実施の対応が急務となっている。
ところで、物流DXを支援するアプリケーション群「MOVO」を販売するHacobu(東京都港区)が2023年4月5日に発表した「物流DX実態調査リポート~『2024年問題』対策の実態と課題」によると、運輸業界の2024年問題への認知は9割近くをマークし、関心の高さがうかがえる。
一方で、「現在取り組んでいる」企業は「36.8%」とやや低い。他業界と比較してDX推進の遅れが問題視されている物流領域において、今後どのように推進していくかがポイントになっている。
「2024年問題」の対応への意識は計90.9% 「物流DX」実施状況は大企業ほど高く
物流業界の「2024年問題」とは、働き方改革関連法によって、長時間労働が課題となっているトラックドライバーの時間外労働の上限を、2024年4月から年間960時間に規制する法改正のことだ。労働環境の改善とともに、ドライバーの労働時間の短縮や人手不足の深刻化から、トラックによる貨物の輸送量が懸念されている。
今回の調査は、インターネットアンケート形式で荷主企業、物流事業者の経営・事業部・物流センターの職員253人を対象に、2023年1月25日から2月7日まで調査を行った。
結果を見てみると、「貴社は物流の『2024年問題』の対応を意識していますか?」に対して、「意識している」が「74.3%」、「少し意識している」が「16.6%」となり、合わせて「90.9%」となり、事業者の関心の高さがあらわれた。
つぎに、「物流DXの取り組み・実施状況について教えてください」の設問には、「現在取り組んでいる」企業は「36.8%」となり、「今後取り組む予定がある」が「34.4%」、「必要性は感じているが取り組んでいない」が「20.9%」、「取り組んでおらず、必要性も感じていない」にいたっては「7.9%」いることがわかった。およそ3社に1社は、取り組みをスタートさせている計算になった。
もっとも、「物流DX」の実施状況を企業の規模別に並べてみると、従業員数1000人以上の大企業では「47.4%」が現在取り組んでいると回答するなど、差が出た。また、300人以上1000人未満の企業でも「41.8%」が取り組んでいたが、しかし300人未満の中小企業では「21.3%」しか取り組んでいない実態が明らかになった。中小企業におけるDXの導入と推進に課題があるようだ。