2022年度の倒産件数、3年ぶりに増加 「インフレ」「人手不足」「ゼロゼロ融資」...企業は四重、五重の苦しみ

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倒産まだ増える? 2023年度は「ゾンビ企業」の動向気になる

   全国の企業倒産の中で、急増したのが物価高(インフレ)倒産だ。

   2022年度の企業倒産のうち、インフレが原因で倒産した企業は463件が発生。前年度の136件から3.4倍に急増して、過去最多を更新した。

   業種別にみると、原材料の高騰が続く「製造業」と「建設業」が90件を超えた。前年度から、最も大きく増えたのは、燃料費の高騰などの影響を受けたトラック運送業など「運輸業」で、前年度から4.6倍に急増した。

   また近年、中小企業で多発している後継者難を原因とする倒産は、2022年度に487件が発生。前年度の476から、2.3%増えた。年度ベースで過去最多を更新した。

   2022年の後継者不在率が60%を下回り過去最低を更新するなか、事業承継を円滑に進められなかった中小企業の倒産が増加している。なかでも、「代表者の病気・死亡」が直接的な原因となった倒産は全体の半数を占め、高止まりの傾向が続いているという。

   帝国データバンクによると、稼いだ利益で借入金の利子を支払えない(国際決済銀行〈BIS基準〉の定義に基づく)「ゾンビ企業」の数(推計)が、2021年度に全国18.8万社にのぼり、前年度(推計16.6万社)から2年連続で増加する傾向が続いていた。

   18.8万社のうち、実際に経常赤字などの「収益力の改善」が課題の企業は、ゾンビ全体の6割にのぼる。また、「過剰債務の解消」や、債務超過など「資本力の改善」が課題の企業もそれぞれ4割程度を占めている。これら3つの課題がすべて該当する企業も約2割の3.3万社となっていた。

   つまり、年間の倒産件数の約5倍に匹敵する規模の企業が、「潜在的な倒産リスク」を抱えていることを示していた。

   今後、ゼロゼロ融資の返済が本格化することや、金利の上昇局面なども予想される。それらを踏まえると、ゾンビ企業から事業継続を断念したり、仕入増や人件費増、設備増強に伴う運転資金の需要に資金調達が追い付かない「黒字倒産」の発生が懸念されたりと、中小企業の倒産が相次ぐ可能性がくすぶる。

   同社は、

「こうした資金繰り負担に耐えきれない中小企業の『淘汰』や『選別』が一段と進む可能性がある。自社の経営体力に見合わない過大な借入金を背負った中小企業の出口戦略が早急に求められている」

と指摘。

   そのうえで、2023年度の企業倒産は、コロナ禍前の水準(年8000件台)も視野に、「緩やかな増加局面が続きそう」とみている。

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