ビジネスパーソンのリスキリング意欲高まる! 成果を出したら、企業側から昇進や抜てきの可能性はある?

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   昨年、岸田首相がこれから「リスキリング」の支援に投じる方針を打ち出したが、ビジネスパーソンや企業側のリスキリングへの関心とはどのくらいなのだろうか?

   そんななか、ビズリーチ(東京都渋谷区)が2023年4月4日に発表した最新のリスキリングに関する調査によると、2021年10月に行った前回の調査から12.8ポイント増えて67.6%となり、リスキリングに取り組むビジネスパーソンの割合は過半数を超えた。

   一方で、リスキリングに取り組む企業は「26.3%」で、新たなスキルを身につけて成果を出した社員に昇格や抜てきなどを行う企業は全体で「21.4%」にとどまるなど、企業側とビジネスパーソンとの間には認識にギャップがありそうだ。

  • リスキリングでキャリアアップ(写真はイメージです)
    リスキリングでキャリアアップ(写真はイメージです)
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30代の意欲が高く...「中長期的にキャリアを考えると、現状のスキルだけでは不安」

   この調査は2023年2月13日から2月19日までにかけて、30代以上のビズリーチ会員629人と、企業の経営層・採用担当者308人に対して調査したもの。

(ビズリーチ調べ)
(ビズリーチ調べ)

   はじめの質問「現在リスキリングに取り組んでいますか?」を調査対象者に問いかけると、過半数を超える「67.6%」の人が取り組んでいると答えた。内訳をみると、「個人で取り組んでいる」が「48.2%」、「勤め先、個人の両方で取り組んでいる」が「11.0%」、「勤め先を通じて取り組んでいる」が「8.4%」となり、個人で取り組んでいる人が最多のようだ。

   ちなみに、前回の調査(2021年10月実施)と比べると、12.8ポイントの増加だという。

(ビズリーチ調べ)
(ビズリーチ調べ)

   続いて、企業側に「あなたの会社では現在リスキリングに取り組んでいますか?」と尋ねると、全体の「26.3%」の企業が取り組んでいると答えた。特に1000人以上の大企業が多く、5000人以上の企業では「48.9%」、1000人以上5000人未満の企業で「40.4%」となった。

   一方で、中小企業・中堅企業ではあまりリスキリングを支援しておらず、300人未満50人以上の企業で「16.2%」、50人未満の企業では「12.2%」という結果になった。

(ビズリーチ調べ)
(ビズリーチ調べ)

   次に、調査対象者に、「ご自身のスキルについて、将来的に新たなスキルを身につける必要があると感じますか」と聞くと、「とても思う」(54.1%)と「どちらかといえばそう思う」(40.9%)を合わせた「95.0%」が必要性を感じている。とりわけ、「とても思う」と答えた割合は、年代が若いほど高い傾向にあり、30代は「70.7%」となった。

(ビズリーチ調べ)
(ビズリーチ調べ)

   理由を見てみると、「仕事の幅を広げるために、継続的にスキルアップしたいから」(68.0%)がトップで、以下、「自身の希少性を向上させ、市場価値を上げたいから」(55.2%)、「中長期にキャリアを考えると、現状のスキルだけだと不安を感じるから」(35.6%)という並びになった。

   また、30代では他の世代に比べて、「中長期的にキャリアを考えると、現状のスキルだけだと不安を感じるから(61.2%)」が高い結果となったようだ。

身に着けてほしいITスキル...1位「PM」 リスキリングは「長期的な自律型のキャリア形成」に有効

(ビズリーチ調べ)
(ビズリーチ調べ)

   一方で、企業が社員に身に着けてほしいITスキルについての質問をみると、1位は「プロジェクトマネジメント(PM)」(48.7%)、2位は「データ解析・分析」(46.1%)、「セキュリティ」(32.8%)となった。

   この結果に対して同社では

「プロジェクトマネジメントは、プロジェクトを円滑に進めるために必要なスキルで、成功までのプロセスを構築し、社内外の関係者やチームなどをとりまとめながら、プロジェクトの進捗・スケジュール管理にくわえて、予算管理や納品物の品質管理も求められます。 多くの企業において、DXやデジタル化を進めるなかで、プロジェクト全体を見通したうえで意思決定を行い、プロジェクトを成功に導けるスキルを求めていることが分かります」

   と答えている。

(ビズリーチ調べ)
(ビズリーチ調べ)

   さらに、企業に対して「年齢にかかわらずリスキリングに積極的に取り組むことは、市場価値を上げることにつながると思いますか」と質問したところ、「そう思う」と回答した割合は64.0%で、前回の調査より13.4ポイント増加しました。

   回答をみると「どちらかといえば、そう思う」(34.1%)と合わせると、合計で「98.1%」に達した。

(ビズリーチ調べ)
(ビズリーチ調べ)

   しかしながら、新たなスキルを身につけて成果を出した社員に対し、昇格や抜てきを積極的に行うと回答した企業は「21.4%」、「どちらかといえば、行う」の「45.8 %」を合わせると「67.2%」となった。

   同社は

「従業員規模が大きくなるほど消極的な企業が多く、リスキリングに取り組む割合が最も高かった従業員数5,000名以上の企業では、8.9%でした。企業のリスキリングの取り組みにおいては、今後、新たなスキルを身につけた社員に対する活躍の機会の提供や創出が課題となってくると推測されます」

   と説明した。

   今回の調査の総括として同社では、次のようにコメントしている。

「今回の調査で、前回調査(2021年10月実施)より、リスキリングに取り組むビジネスパーソンが増加していることが分かりました。 特に、主体的なキャリア形成に対する意識の高まりを背景に、個人で取り組むビジネスパーソンが増加しています」
「一方で、企業側の回答をみると、リスキリングが市場価値向上につながると考える経営者や採用担当者は増加しているものの、新たなスキルを身につけた社員に対して積極的に昇格や抜てきを行うと回答した企業は2割程度にとどまることが分かりました」
「VUCA時代を生きるビジネスパーソンには、時代の変化に合わせてリスキリングを行いながら、社内でキャリアを築いていくチャンスを模索すると同時に、社外でのキャリアの可能性を模索し続けることが求められるのではないでしょうか。自身が活躍できる環境を自ら選択し続けることが、長期的な自律型のキャリア形成につながります」
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