今、企業のCSR部門が関心寄せる...自然と人とのいい関係で幸福を生み出す「森づくりビジネス」とは?/グリーンエルム・西野文貴さんに聞く【「アトツギ甲子園」最優秀賞】

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最高の自然で「環境教育」 子どもたちに教えたいのは「郷土愛」「長期的な目線」

全国で環境教育を実施(提供:西野文貴さん)
全国で環境教育を実施(提供:西野文貴さん)

――ユニークな取り組みですね。そのほかにも、特長はありますか。

西野さん さらに、植樹を行った山林の一部は地元の小中高校生に無償開放し、子どもたちに最高の自然で環境教育を行う取り組みを始めています。
子どもたちが植樹を行う価値として、木を観察しに森を訪れるきっかけになったり、地元への愛着を育てたりすることにつながります。これは自然と人との距離を近づけ、人生の幸福度を高めることなると思っています。
また、私自身、幼少期に植樹を体験しました。その時に学んだのは、植樹した木が大きく育つまでに、何十年という時間がかかるということ。こうした経験は、子どもたちに「長期的な目線」を養ううえでいい経験になるのではないか、と思います。
現代はインターネットやスマートホンといったデバイスを子どもも使うことが多く、触ったら、すぐ反応があるものばかり。すると、短期的な目線しか育たないのではないかと危惧しています。
それだけに、植樹や環境教育を通して、子どもたちの心の中で「自然って大事なんだ」「自然を壊すと元に戻すのにすごい時間がかかるんだ」という意識を高め、それを大人になったときに生かしてほしいと伝えています。

――すばらしい取り組みですね。

西野さん もう少し説明すると、実は日本の国土に占める森林の割合はおよそ7割で、世界第2位の豊かな自然があります。1位はフィンランドですが、フィンランドと日本の人の幸福度を比べてみるとかなりの落差があります。そこで私が思うのは、フィンランドでは自然享受権(※)が認められていて、比較的自由に森に立ち入ることができます。すると、人間と自然の距離がぐっと近づき、身近に自然を感じられる。それがもしかしたら、人間の幸福度を高めているのではないかということです。
こうした「幸福度」の観点でも、「里山ZERO BASE」を通じて、課題解決を目指していきたいと思います。

(※)自然享受権とは、北欧などで認められている、土地の所有者に損害を与えることなく植物や動物に敬意を払って行動する限り、すべての人にあらゆる土地への立ち入りや自然環境の享受を認めるという権利。

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