今、企業のCSR部門が関心寄せる...自然と人とのいい関係で幸福を生み出す「森づくりビジネス」とは?/グリーンエルム・西野文貴さんに聞く【「アトツギ甲子園」最優秀賞】

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自然・人・企業が手を取り合う「森づくりビジネス」

植樹祭の様子(提供:西野文貴さん)
植樹祭の様子(提供:西野文貴さん)

――博士号をお持ちとは驚きました。アトツギ甲子園でも発表された「里山ZERO BASE」とはどんな事業でしょうか?

西野さん 「里山ZERO BASE」は山地災害や花粉症、地域の雇用、生物多様性、環境教育などの森林を取り巻く課題を、植生調査・樹種選定・現場指示といった「森づくりビジネス」で解決することを目指しています。
父が培った種子から苗木を作り、土壌整備する「苗木づくり」のビジネスと、林学博士を得た私の植生管理と獣害モニタリング、二酸化炭素固定量算出といった「森づくり」の技術を掛け合わせ、材木を販売する林業から山林全体で付加価値を生んでいく「森林業」にグレードアップさせたいと考えています。

――具体的には、どういったビジネスプランとなるのでしょうか。

西野さん ターゲットとしたいのは、企業のCSRにかかわる部門です。よく企業のCSR活動の一環として、植樹が行われることは少なくないと思います。ところが、CSR部門の課題として、担当者さんが必ずしも環境に詳しいわけではない、ということが挙げられます。だから、植樹などの活動をどのように行い、また、どうやって広げていけばいいかわからないというケースがあります。
そこで、「里山ZERO BASE」に委託していただければ、山林の植生を調査に始まり、その土地に最適な苗木の植樹を提案し、ひいては植樹の結果どのような効果が表れたのか報告書にまとめるところまで実施します。私たちが、植樹に関して、調査・設計・検証をワンストップで請け負うのです。

――昨今、どちらかといえば、企業のCSR活動以上に、ESG(E=環境、S=社会、G=ガバナンス)を重視する姿勢が評価されているように思います。そんななかでも、なぜ企業のCSR活動をサポートするような事業展開を考えられたのでしょうか。

西野さん たしかに、CSRというと「ちょっと古いのでは」と思われがちですね。しかしながら、日本のCSR活動は50年以上の歴史があります。また、ESG重視の経営姿勢はもちろん重要ですが、一方でだからといって、いきなり大きな投資を行うことは難しいだろうなと。そうしたことから、まずはCSR活動を、ESG経営を進めるうえでの入り口としてはどうかと考えたのです。
もっとも、私たちも将来的な構想として、植樹によって、どれくらい二酸化炭素排出量の抑制に貢献したかを報告したり、または植樹した木を使って「木の名刺」として活用したりしてもらうなどの提案もしていきたい。
このように、植樹などのCSR活動がESG経営に果たす役割は大きいと考えています。
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