「植田日銀」を「思ったよりハト派!」にした岸田首相と安倍派...エコノミストが指摘「早期の政策修正は後退したが、出口戦略へのシナリオ見えた!」

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植田「ハト派発言」の陰に、岸田文雄首相あり

   こうように動くに動けぬ「植田日銀」はどうする? 目下の焦点は4月27日・28日の初の金融政策決定会合だが、政策修正の「サプライズ」はあるのか。エコノミストはどう見ているのか。

   「4月の政策会合では、政策修正はいったん見送られるだろう」と予想するのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏だ。リポート「植田総裁は、緩和修正を示唆せず~4月10日の就任会見~」(4月11日付)のなかで、その理由として、「会見でYCCの修正が近いという市場観測に対して、はっきりと否定した」こと、そして、その発言を受けてドル円レートが一気に円安に向かったことをあげた。【図表】

(図表)ドル円レートの推移(第一生命経済研究所の作成)
(図表)ドル円レートの推移(第一生命経済研究所の作成)

   熊野氏はこう指摘する。

「多くの人は、植田総裁の冒頭の挨拶で『積年の課題である物価安定の総仕上げをしたい』という言葉を聞いたとき、やはり植田総裁は早期に出口戦略に着手したいのだろうと感じたが、その後に続いた話をよく聞くと、割と慎重な言葉ばかりが目立っていると見方を変えた」
「目立った言葉は、現在の景気・金融情勢に対しては、『状況を見極める』という発言だった。この言葉は会見で何度も繰り返された。これは『すぐに動かない』ということを言い換えた表現だ。全体として、植田総裁のハト派ぶりを強調させてみせた」

   そして、熊野氏は「ハト派発言」の背景には、就任会見前に行なった岸田文雄首相との会談が影響しているのではないかという。

岸田文雄首相は植田総裁と会談で何を話し合った?
岸田文雄首相は植田総裁と会談で何を話し合った?
「このとき、共同声明については、首相との間で『直ちに見直す必要はない』ことを確認している。また、現状認識については、経済に対して不確実性が高いという点で一致したとされる。まずは政策修正には前向きに動かない方がよいというニュアンスが、岸田首相から植田総裁に伝わった可能性はある」

   最後に熊野氏は、就任会見で改めてわかった「植田日銀」が目指す正常化のイメージをこう描く。

「米国では、米銀不安は、FRBの急激な利上げが引き起こしたという見方がある。長期金利が上昇すると、国債など長期債に含み損が膨らみ、それが金融システムを揺るがす可能性である。この問題は、金利正常化を目指す植田日銀にも、将来的にふりかかってくる課題だとも思える」
「その質問に対して、植田総裁は『金融機関の収益への影響はあるが、自己資本が十分に備わっていれば大丈夫』という意味の発言をしていた」
「氷見野副総裁は、より明快に『最終的に出口を迎えられるのならばプラスだ。そこまで移行過程をどうマネージするか。銀行のリスク管理体制を確認して、経営の健全性を保っていく』と述べている。この発言は、現在のFRBが米銀不安で利上げに黄色信号が点灯しているという意見に対して、そうではないという意味の反論をしている。将来、日銀が直面することが予想されている銀行の債券含み損の発生に関して、具体的な考え方を示した点は新しい」
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