鳥インフルエンザの「エッグショック」影響大きく...外食大手100社のうち2割、卵メニュー休止・休売に 戻るのはいつ? 秋に再び流行したら回復遅れも

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   鳥インフルエンザの感染拡大に伴う「エッグショック」の外食産業での影響が大きくなっている。

   帝国データバンクが2023年4月6日に発表した調査によると、上場する外食大手100社のうち、2023年に入って卵メニューを販売休止や休売とした企業は28社に及ぶことがわかった。

   会社ウォッチ編集部の調べでは、すかいらーくグループや壱番屋、マクドナルドなどで一部商品の販売を休止している。一方で、大手ハンバーガーチェーンでは卵を使ったメニューを新たに投入するなどの動きもあった。

   卵メニューの明暗を分けたのはどういった要因だったのか?

  • 卵料理を外食で食べられなくなる日が来るかもしれない(写真はイメージです)
    卵料理を外食で食べられなくなる日が来るかもしれない(写真はイメージです)
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養鶏の23道県56事例約998万羽の殺処分...農林水産省の報告 米国では6000万羽も

   エッグショックの問題は昨年から始まっている。日本国内で2022年の10月に鳥インフルエンザに感染を確認し、1月9日段階で養鶏への鳥インフルエンザへの感染が確認され、防疫処理を行った鶏卵場は23道県56事例に及んだ。殺処分数は998万羽となった。

   この数字は、これまで過去最大の発生だった令和2年度シーズンにおける発生事例と殺処分対象羽数を上回っている。

   ちなみに、アメリカでは2022年2月段階で、発生件数721件47州にわたって確認。殺処分対象羽数は6000万羽という。カナダでは281件の発生件数で670万羽を殺処分しているなど、鳥インフルエンザは全世界で猛威を振るっている。

   農林水産大臣の野村哲郎氏は、同省のウェブサイト上で公開したメッセージで

「本日の国内56例目となる茨城県城里町での鳥インフルエンザの発生を受け、今シーズンの殺処分対象羽数は約998万羽となり、令和2年度シーズンを上回り、過去最多の発生となりました。
こうした中で、2022年12月7日には、私から、発生予防とまん延防止のための防疫対策の徹底を呼びかけたところですが、昨今の情勢を踏まえ、本日、改めて、全国の生産者をはじめとした畜産に携わる関係者及び都道府県等の行政関係者の皆様に対して、最大限の緊急警戒を呼びかけさせて頂きます。」

   と述べている。

卵の価格上昇350円/kgに 「在庫確保量が非常に少ない」エッグショックの影響続く

(帝国データバンクの作成)
(帝国データバンクの作成)

   今回の帝国データバンクによる外食チェーン店100社への調査では、卵メニュー休止・休売する企業は28社。休止を検討している企業が2社あることがわかった。

   会社ウォッチ編集部で各社のニュースリリースを調べてみると、たとえば以下の会社で確認できた。

・すかいらーくグループ 一部商品販売休止
・壱番屋 一部商品販売休止
・マクドナルドHD 一部商品販売休止
・サガミHD 一部店舗で販売休止
・ロイヤルホスト 卵を使ったモーニングメニュー値上げ
・サイゼリヤ 一部商品販売休止・代替
・セブンアンドアイHD 卵メニュー減量

   これらの会社では卵メニューに影響を受けているようだ。

   一方で、新たに卵を使った商品を市場に投入しようという動きもあった。

・モス 3月下旬から5月中まで卵を使った新メニュー投入
・ロッテリア 3月中旬から5月中まで卵を使った新メニュー投入

   このように、マクドナルドが卵を使った朝メニューを休止しているなか、ほかのハンバーガーチェーンは新たなメニューを投入している。

   果たしてこの明暗を分けた要因は何だったのか?

   帝国データバンクの担当者に話を聞くと

「(それは)企業の調達力にあると考えられる。会社によっては自社農場で鶏卵をつくっているため、市中価格の影響が少なかったところもあるようだ。 一方、スポット契約で卵を買っている会社では市中の動向に大きく影響を受けていると見られる」

   と説明する。今後については、

「また、殺処分後の動きとしてひな鳥から育て直しになるために、およそ半年から1年程度は供給が落ち着くまでにかかると思われる。しかし、9月から鳥インフルエンザの流行期に入るため、来年度(24年度)も流行すれば回復には1年、2年と待たなければいけない可能性がある」

   とコメントした。

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