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建設業の「2024年問題」...時間意識の現状は? 現場では「定時退社の呼びかけ」「時間外勤務の抑制」など実施 残業30時間以下は6割に

   みなさんは建設業の「2024年問題」をご存じですか? これは、2024年から国の働き方改革の一環で、これまで猶予されていた労働時間上限規制が建設業と運輸業に課される問題です。

   そんななか、現場DXを加速させるTECHメディア「現場TECH」が2023年3月29日に発表した、「建設業における2024年4月からの労働時間上限規制への意識調査、および働き方改革への取り組み状況に関するアンケート」によると、4割程度の関係者がまだ内容を知らないなど周知が徹底されていない事実が明らかになった。

   担い手不足や人手不足に悩まされることの多い建設業だけに、求職者に魅力的な労働環境をアピールするためにも、早急な対応が求められる。

  • ICTを活用した建設現場の施工(写真はイメージです)
    ICTを活用した建設現場の施工(写真はイメージです)
  • ICTを活用した建設現場の施工(写真はイメージです)

建設業の年間総労働時間は2056時間 週休2日の取得も難しく...

   建設業の2024年問題とは、「労働時間の上限規制」、「正規・非正規社員の同一労働同一賃金」、「月60時間超の時間外割増賃金率引上げ」などが該当する。建設業界ではこれらに対応すべく、アクションを取らなくてはならないことが喫緊の課題だ。

   現状における建設業の長時間労働については、産業別年間総実労働時間調査によると、運輸業で2054時間、建設業2056時間(2016年)とあり、適切な週休2日の推進による休日確保など、時間外労働規制の適用に向けた必要な環境整備を進めることが求められている。

   また、官庁発注の公共事業であれば、週休2日制のモデル工事や、弾力性のある納期の設定もありえるが、民間発注のタワーマンションやホテルなどの建築では、開店・開所の日程が決まっているため、工期がタイトになり長時間労働が発生するという発注者による違いもあるようだ。

長時間労働是正に向けて「定時退社の呼びかけ」「休日出勤の禁止・抑制の呼びかけ」「ノー残業デーの導入」などを実施

   今回の調査では、2024年4月に控えた「働き方改革」への取り組みの実態を把握するために行ったもので、23年3月16日から26日までの間、建設業従業員286人にWEBアンケートで聞いた。

(現場TECHの作成)
(現場TECHの作成)

   設問1では、「2024年4月より建設業にも適用される労働時間の上限規制についてどの程度知っていますか?」と聞いてみたところ、「内容をおおよそ理解している」(42.3%)と「内容を理解している」(14.0%)を合わせて「56.3%」の人が制度を理解していた。一方で、「聞いたことはあるが、内容までは知らない」で「33.2%」、「まったく知らない」の「10.5%」の合わせて43.7%の人がまだ内容を理解してないことがわかった。

   同社では

「2024年4月に迫った労働時間の上限規制ですが、内容をしっかり把握している方は14.0%で、周知が行き届いているとは言い難い結果であることが分かります」

   とコメントしている。

(現場TECHの作成)
(現場TECHの作成)

   設問2では、「2023年3月時点で過去1年の月間平均残業時間はどれくらいですか?」を尋ねた。

   すると、最も回答が多かったのが、「11~30時間」で「37.1%」、次いで「10時間未満」で「26.2%」だった。残業時間が30時間未満の建設業関係者は合わせると「63.4%」いるようだ。一方で、「6.2%」の人が月61時間以上の残業をしている厳しい状況がわかった。

(現場TECHの作成)
(現場TECHの作成)

   設問3では、「残業時間抑制のため、実際に組織的に取り組んでいる施策」について質問した。結果は、「定時退社の呼びかけ」で「38.8%。」が最多となった。続いて、「休日出勤の禁止・抑制の呼びかけ」が「36.0%」、「ノー残業デーの導入」に取り組んでいる企業は「29.7%」となり、多くの企業は「呼びかけ・声かけ」といった方法で、残業時間抑制に取り組んでいることがわかった。

   この調査結果を受けて同社では

「規制の内容を理解していない従業員の割合は4割強に上り、意識が足りないように思える結果となりました。 加えて、残業時間の抑制への取り組みは呼び掛けや声掛けが中心で、雇用主側の具体的なアクションもまだ不十分と言えます。無対策のままでは業務が圧迫するのは明白です。 業界全体の課題として、今こそDXによる業務改善・生産性向上が求められているのかもしれません」

   とコメントしている。