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【2024年卒就活生】4月1日で早くも内定率5割、進路確定率3割! 企業の早いスケジュールに惑わされず、幅広く選択すれば勝機あり!

   2024年卒大学生・大学院生の就職活動が、「中盤戦」に突入した。「ウィズコロナ」に入って経済活動が完全に再開したことを受け、企業側が若い人材確保に懸命だからだ。

   そんななか、リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2023年4月7日、2024年卒大学生・大学院生を対象にした就活状況を調べた「就職プロセス調査(2024年卒)『2023年4月1日時点 内定状況』」を発表した。

   4月1日時点で早くも内定率は約5割、進路確定率が約3割に達し、かつてないハイペースで進んでいる。

内定者、昨年より10%増の超速ペース...特に理系が急上昇

   調査によると、就職内定率(大学院生を除く)は48.4%で、同じ時点の昨年(2023年卒対象)の38.1%に比べ、10.3ポイントも上回る早いペースだ【図表1】。

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(図表1)就職内定率(リクルート就職みらい研究所の作成)

   内定率を文理別で見ると、「文系」が46.5%(前年比プラス10.0ポイント)、「理系」が52.9%(同プラス11.2ポイント)。特に「理系」は3月1日時点から17.6ポイントも増加した。男女別では、男性(53.2%、同プラス15.3ポイント)のほうが女性(43.3%、同プラス4.8ポイント)よりかなり高いことが目につく。

   内定取得先の業種をみると、情報・通信業が30.1%と、ダントツに高いことが特徴だ。ITスキルを持つ人材は、世界的に奪い合いが激しく、優秀な学生は早くから海外から誘いの手が伸びるため、IT系企業の選考が早く進むようだ。

   次いで、ウィズコロナで企業活動が活発化したサービス業(14.9%)、製造業(機械器具、14.2%)、製造業(機械以外、13.3%)、小売業(10.4%)などが上位に並んだ【図表2】。

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(図表2)内定取得先企業の業種(リクルート就職みらい研究所の作成)

   内定を取得した企業数をみると、平均1.93社で、前年の1.85社より増えている。内定取得者のうち2社以上内定を取得した学生の割合は47.5%で、昨年の44.7%より高い【図表3】。

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(図表3)内定取得先企業数(リクルート就職みらい研究所の作成)

特定の業種、特定の学生に内定が集中せず...今年は、内定辞退企業数も多い傾向

   さらに、早いスタートダッシュを反映して、進路確定率も3割近い28.5%(同プラス6.4%)と高い水準に達している【図表4】。

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(図表4)進路確定率(リクルート就職みらい研究所の作成)

   その一方で、昨年以上に内定辞退企業数が多いことも、今年の特徴だ。早くも2社以上を辞退した人が11.8%いるのだ。内定辞退率は3月1日時点から12.0ポイント増加し、33.1%(昨年比プラス4.2ポイント)と前年に比べ高い。

   こうした結果から、特定の業種、特定の学生に内定が集中することなく、幅広く分け合う傾向が見られることが、昨年に続き今年の特徴のようだ。

   就職活動の具体的な活動内容を聞くと(複数回答可)、「就職に関する情報を収集した」(85.3%)、「エントリーシートなどの書類を提出した」(85.0%)、「適性検査や筆記試験を受けた」(79.3%)、「自己分析をした」(69.6%)、「Web上の面接を受けた」(69.4%)、「インターンシップに参加した」(65.8%)などが上位に並んだ【図表5】。

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(図表5)3月末までの各活動実施状況(リクルート就職みらい研究所の作成)

   ほぼ全員が情報集めを開始しており、具体的に適性検査や筆記試験などの選考試験を受ける段階まで進んだ学生が多いことがうかがえる。

落ち着いて広い視野を持つと、偶発的な出合いが生まれる

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さあ、面接を頑張ろう!(写真はイメージ)

   就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏はこうコメントしている。

「4月1日時点の大学生の就職内定率は、48.4%(プラス10.3ポイント)と、前年に比べ高い水準となりました。各プロセスの3月中の活動実施量を見ると『合同説明会・セミナーに参加した』『個別企業の説明会・セミナーに参加した』『エントリーシートなどの書類を提出した』は、前年に比べ減少しています。

一方で、『面接選考(最終面接含む)を受けた』『最終面接を受けた』は、3月中の実施量が前年に比べ増加しており、企業が前年より早いタイミングで選考を行っているのではないかと推察されます。内定率は例年に比べ高くなっていますが、内定取得者の就職活動実施率は64.8%と前年同水準です。

就職活動開始当初と比べた今後の就職活動の方針については、全体と内定未取得者で見ると、『志望内容や範囲は変えずに活動する』が最も高く、内定取得者で見ると、『志望内容は変えず、より志望度の高い企業に絞って活動する』が40.2%と最も高い結果となりました。

ただし、内定未取得者は『志望内容は変えず、より広い企業を対象に活動する』が24.2%と、志望企業の対象を広げて活動する傾向もあります。当初の志望にこだわり過ぎることなく、広い視野を持つことで、偶発的な出合いが生まれることもあります。現在の就職活動の状況はさまざまかと思いますが、学生の皆さんは納得のいく1社を見つけられるように、引き続き就職活動を進めていきましょう」

焦らず、迷わず、落ち着いて、幅広い視野で就職活動を進めていこうと励ました。

   調査は、2023年4月1日~4日、2024年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生4568人(大学生3575人・大学院生993人)にアンケートした。(福田和郎)