孤独をむしばむものは? 配偶者の有無、世帯年収、「ゆとり」ある暮らし向きが影響...内閣官房調査(鷲尾香一)

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孤独感に影響する「暮らし向き」、「ゆとり」の差で大きな開き

   孤独感は経済的な状況にも左右される。

   世帯の年収には、孤独感の状況が見事に表れている。

   孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合が最も高いのは、年収が「100万円未満」で8.1%(前年は7.3%)となっている。その割合は年収の高さに沿って、徐々に低下していき、年収1000万円以上では2.3%(同2.7%)まで低下する。(表3)

   「ある」の合計で見ても、年収100万円未満が45.2%で最も高く、年収1500万円以上が34.4%で最も低くなっている。

   年収よりも明確に孤独感が現われるのが、暮らし向きだ。

   孤独感が「しばしばある・常にある」との回答は、暮らし向きに「大変ゆとりがある」では4.2%、「ゆとりがある」では3.2%、「普通」では2.3%なのに対して、「やや苦しい」では5.3%、「大変苦しい」では14.2%となる。「大変苦しい」は「普通」の6倍以上も孤独感を感じている。(表4)

   「ある」の合計でも、「大変ゆとりがある」が29.8%なのに対して、「大変苦しい」では59.1%と倍近くなっている。

   孤独の感じ方は、人それぞれだろう。ただ、調査結果では配偶者や同居人に有無、あるいは経済的な状況などが孤独を感じる一因となっていることが明かになっている。

   孤独感は自殺の一要因にもなっており、孤立や孤独を感じることのない社会の実現が求められる。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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