47都道府県別に見る「医療」...病院、病床、医師、看護師など「医療体制」が整っているのはどこか?【俯瞰して見る日本(7)】(鷲尾香一)

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医師&看護師は「奇妙な逆転現象」...医師数のトップは神奈川県、最下位は山口県 看護師数のトップは栃木県、最下位は高知県

   さて、病院数と病床数が多ければ、医師、看護師といった医療関係者も多いと思うところだが、ここで奇妙な逆転現象が起こる。

   2020年度の100病床当たりの一般病院常勤医師数を見ると、トップは神奈川県の20.1人。最下位は山口県の9.2人となっている。全国平均は14.4人で、平均を超えているのは18位の岐阜県までだ。特に、病院数、病床数で最下位だった神奈川県は、唯一20人を超えている。(表5)

   2020年度の100病床当たりの一般病院正・准看護師数では、トップは栃木県の87.0人となっている。栃木県は唯一全国で20人を超えている。最下位は高知県の62.3人だ。全国平均は70.8人で、平均を超えているのは22位の京都府までだ。特に病院数と病床数でトップだった高知県が医師数では下位6位、看護師数では下位1位となっている。(表6)

   医師数と看護師数では、上位10に神奈川県、愛知県、栃木県、滋賀県、沖縄県、島根県の5県が両方に入っている。下位10には山口県、北海道、鹿児島県、岩手県、高知県、福島県の6道県が両方に入っている。

   つまり、病院数、病床数の上位は、医師数、看護師数では下位に入るという逆転現象が起きているのだ。

   そこで、病院数と医師数の関係を見ると、病院数で上位10に入りながら、医師数では下位10に入っているのは、鹿児島県、大分県、宮崎県、佐賀県、熊本兼、北海道の6道県に上る。半面、病院数で下位10に入りながら、医師数では上位10に入っているのは、神奈川県、愛知県、東京都、栃木県の4都県だ。

   この現象を人口数の多い都県の病院・病床不足と捉えるのか、地方の医師・看護師不足と捉えるのが正解なのかは判然としない。

◆連載で取り上げた35項目のランキング...東京都はトップが15項目、秋田県は最下位が5項目

   さて、これまで7回にわたる連載「俯瞰して見る日本」で、日本の姿を見てきた。

   35項目のランキングを取り上げたが、そのうち15項目で東京都が1位に入っていた。最も最下位が多かったのは秋田県の5項目だった。

   日本は東京都を中心とした大都市への人口集中と地方における過疎化の進展が、さまざまな問題を引き起こしている。この連載が、今回取り上げた基本的な項目だけではなく、居住する都道府県・地域の現状と抱える問題に関心を持つきっかけになればと願っている。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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