入社式「心を震わす社長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【3:仕事と人生に哲学を持とう編】

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   新年度がスタートした2023年4月3日、多くの企業で入社式が行われた。

   ウクライナ危機、世界的なインフレと景気後退リスク、さらにAI(人工知能)時代の到来という未曽有の歴史の大転換のさなかだからこそ、多くの社長が心の底から新入社員を歓迎し、「一緒にこの危機を乗り越えていこう!」と熱いエールを送った。

   J‐CAST 会社ウォッチ編集が、「心を震わす社長の挨拶」を独断で選んでみた。

NTTデータ・本間社長「『凡事徹底』。何事も決めたことはやり抜こう」

   社会人になれば、「生き方の羅針盤」が必要になる。ちょっと難しく言えば、「哲学」ということになるだろうか。社長の中には、経営者としての立場を離れて、人生の大いに先輩として、やわらかい、しなやかな言葉で、生き方を諭す人も多かった。

NTTデータの本間洋社長(同社公式サイトより)
NTTデータの本間洋社長(同社公式サイトより)

   座右の銘にしている言葉を贈る人が多かった。NTTデータの本間洋社長は、含蓄のある2つの言葉を贈った。

「皆さんも聞いたことのある言葉かと思いますが、『Where there is a will, there is a way.』。意志あるところに道は開けます。自分なりの高い志を掲げて、その実現に向けて、思い切ってチャレンジをしていって欲しいと思います」
「そして、『凡事徹底』です。何事も、決めたことを徹底してやり続けることが重要です。いろいろと決めた後の『徹底力』で差がついてきます。目標の達成に向かって、強い気持ちで取り組み続けることで、成果に結びつきます」
明電舎の三井田健社長(同社公式サイトより)
明電舎の三井田健社長(同社公式サイトより)

   電器メーカー明電舎の三井田健社長も、2つの言葉を紹介した。

   まず、米国の実業家で、数多くの講演をこなしているブライアン・トレーシーの「行動を変えていこう」という言葉だ。

「『皆さんの行動のほとんどすべて、少なくとも95%はあなた自身の習慣によって決まっている。朝起きてから夜寝るまで、習慣があなたの言動や周囲の人への反応をコントロールしているのだ。人生で成功する人は〈人生をよりよくする習慣〉を身につけている』。
人は、習慣化されていない、新しいことを行う際には、脳にとても大きな負荷がかかるとされており、そのため、脳はエネルギーをセーブするべく、『いつもの慣れたことをやろう!』と考える傾向にあると言われています」
「まずは、できることからということで、『朝の早起き』を推奨します。自分で行動を変えるという意識を持ち、明日からでも実践していきましょう」

   こうアドバイスした。

   次は、イギリスの探検家のジョン・ラボックの「過去の自分を超えていこう」という言葉だ。

「『他人が自分より優れていたとしても、それは恥ではない。しかし去年の自分より、今年の自分が優れていないのは立派な恥だ』。
これから30年、40年と続く会社人生においては、皆さんが現時点で持っている能力よりも、個としての成長と、それによる『これからの』能力が大事なのです」
「失敗を恐れないでください。困難なものにむかう姿勢こそ大事であり、それが仕事の品性となり、皆さんの品格になります。皆さんの『志』を達成するために、誰に対しても誠実であり、果敢に挑戦し、結束して、より豊かな未来を拓いてください」

   そう呼びかけた。

日本冶金工業・久保田社長「これからが、これまでを決める」

日本冶金工業の久保田尚志社長(同社公式サイトより)
日本冶金工業の久保田尚志社長(同社公式サイトより)

   日本冶金工業の久保田尚志社長は、15人の新入社員を前に、あるお坊さんの不思議な言葉を紹介した。

「先日、ある本を読んでいますと、面白い言葉を見つけました。浄土真宗の、とある高僧の言葉だそうですが、『これからが、これまでを決める』というものです。普通は『これまでが、これからを決める』と思うわけですが、この坊さんは逆のことを言っています。『これからが、これまでを決める』。何か心に響くものを感じないでしょうか」
「今日これからスタートする社会人生活を、皆さんなりに日々前向きに過ごしていく中で、かつてのコロナに大きな制約を受けた学生時代が、また別の意味や意義を持って振り返れる日が来るかもしれません。私たち日本冶金工業でのこれからの日々が、皆さんのこれまでの人生に、また違う意味や意義を与える、そうした社会人生活になれるよう、心から願っています」
「まずは、縁あって集まった、この15人の同期生です。お互いによく知り合い、理解しあい、配属後も絆を大切にしていただきたい。生活のリズム、パターンもこれまでと変わります。健康に気を付けて、社会人1年生を楽しんでください」
コニカミノルタの大幸利充社長(同社公式サイトより)
コニカミノルタの大幸利充社長(同社公式サイトより)

   健康といえば、どちらかというと精神的訓話が多いなかで、「体の大切さ」を強調したのが、コニカミノルタの大幸利充社長だった。

「当社役員はこの1年、レジリエンス(逆境力養成)研修を受けてきました。さまざまな困難を乗り越え回復するためには、運動、栄養、睡眠が大切です。この3つをベースに、良いビジネスパーソンであるには、他人の失敗を沢山聞いて自分であればどうしたか、常に一人称で考える積み重ねが大切だと思います」

   そして、こんなアドバイスを贈った。

「どんな困難な状況でも、1つくらいは良いところもあるので、そこに気づく前向きさの積み重ねも大切です。この研修を始めて1年ですが、私はこれからまだまだ進化できると自分を信じています。若い皆さんは、今日からそんな積み重ねによって、これからもっと輝ける潜在力を引き出せるに違いありません」

野村総合研究所・此本社長「仕事だけではなく、私生活でも誠実に」

野村総合研究所の此本臣吾社長(同社公式サイトより)
野村総合研究所の此本臣吾社長(同社公式サイトより)

   就活生の人気がトップクラスの野村総合研究所・此本臣吾社長が、何よりも強調したのは「さわやかな人間性」だった。特に重要なのは「仕事だけではなく、私生活でも誠実であれ」ということだという。

「いかに優秀でも、誠実さがなければお客様からの信頼は得られません。真面目で誠実な姿勢は、野村総合研究所グループが誇れる組織風土です。その伝統を受け継いでいってください」

   2つ目にも「謙虚な心を持つ」ことが大切だとした。

「自分ひとりでできることには限りがあります。幅の広い大きな仕事をしていくには、他者とのコラボレーションが不可欠です。誰に対しても謙虚、真摯な態度で接し、信頼してもらえる行動を取ることを忘れないでください」

   そして、3つ目は「明るくポジティブ思考を忘れないでほしい」と訴えた。

「自分を信じ、明るく前向きの姿勢で物事に向き合っていってください。そのような心がけを持ち目の前の仕事に取り組めば、成長した自分を見出せるはずです」
「最後に一番大切なことですが、『心身ともに健康であること』です。野村総合研究所グループでは、若手の積極登用という伝統が受け継がれています。成長機会があるということは、プレッシャーも大きいということですが、何よりも優先されるのは皆さんの心身の健康です。健康管理にも十分配慮した社会人生活を心がけてください」

   将来、責任ある仕事を任せることになる若手たちの健康に気を遣った。

クラシエ・岩倉社長「クレイジーに生きよう!」

クラシエホールディングスの岩倉昌弘社長(同社公式サイトより)
クラシエホールディングスの岩倉昌弘社長(同社公式サイトより)

   一方、アツい生き方を勧める社長も目に付いた。化粧品・化学製品のクラシエホールディングス(旧カネボウ)の岩倉昌弘社長は破天荒と思えるエールを贈った。「Crazy」(クレイジー)である。

   同社では2017年7月の社名変更10年を機に、ビジョンとして「CRAZY KRACIE」を掲げる。「Crazy」には「突拍子もない」「常軌を逸した」などの意味があり、カジュアルな英語としては、「あり得ない!」「やばい!」などのケースで使われる。国際商業オンラインによると、「Crazy」に込めた思いを交えつつ、岩倉社長はこう語っている。

「私が社長に就任した年から、クラシエのビジョンとして『CRAZY KRACIE』(クレイジー クラシエ)を掲げています。これは、常識を超え、革新し、夢中になり変化し、楽しむ。そして多くの人と繋がり、世の中を変えるための私たちの状態を指しています」
「皆さんは、未来を切り拓く『CRAZY KRACIE』を実践する逸材と見込まれ、この場に集まりました。ぜひ、挑戦することを楽しみ、世界を夢中にするイノベーションを起こしていただきたいと思います。新入社員だからといって遠慮することなく、『私は社会をこう変えたい』『こうすればもっと良くなる』『そのために私はこうしたい』という考えをしっかり持ち、夢中になって行動していただくことを強く望みます」

トクヤマ・横田浩社長「我々は『何を言ったか』ではなく『何をやったか』だ」

トクヤマの横田浩社長(同社公式サイトより)
トクヤマの横田浩社長(同社公式サイトより)

   アツさでは、こちらも負けていない。ジョン・F・ケネディは「我々は言葉だけでなく、行為でそれを示さなくてはならない」と言ったが、似たような言葉で励ましたのが化学メーカー、トクヤマの横田浩社長だ。

「志を持ってやり続ける力に勝る才能はありません。中国の古典『四書五経』の1つ、『大学』に記された殷王朝の創始者・湯王の有名な言葉に『苟(まこと)日新、日日新、又日新』(まことに日に新なり、日に日に新にして、また日に新なり)がありますが、いま述べたことは、まさにこの言葉に集約されています」
「不透明な国際秩序の模索の中、我々はビジネスで生き抜いていかねばなりません。ピンチをチャンスに変え、時代を切り開くファーストムーバーを目指す、フロンティア精神を持った集団を作っていきたいと思います」
「我々は『何を言ったか』ではなく『何をやったか』、要は実行する集団にならねばなりません。カーボンニュートラルを逆手に新しい会社を生み出す、という大きな夢に向けて取り組んでいきます」
「最後に、創業者である岩井勝次郎の遺訓『常に事業は艱難(かんなん)に成り、安逸に敗(やぶれ)る』を紹介します。事業というものは多くの苦労・困難を乗り越えてこそ成功につながるもので、楽々のうちに楽はなく、いずれ衰亡の道に繋がる、という意味です」

   結びとして、「武士道」を世界に広めた新渡戸稲造の言葉で締めくくった。

「皆さんの末永きご健康と、これからの成長、活躍を祈念して私の尊敬する新渡戸稲造の『haste not, rest not』(急ぐなかれ、怠るなかれ)という言葉を贈ります」

   新入社員に向けた熱いエールの数々......「心を震わす社長の挨拶」はまだまだあります。<入社式「心を震わす社長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【4:AI時代、人間らしく働く編】>もぜひどうぞ。

(福田和郎)

2023年度「心を震わす社長の挨拶」シリーズ
入社式「心を震わす社長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【1:ビジネスで大切なこと編】
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