「チャットGPTを止めろ!」「制御不能だ!」イーロン・マスクも警告する「AI競争」 海外メディアが予測する「AIに奪われる仕事TOP10」とは?(井津川倫子)

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イーロン・マスク「チャットGPTをストップしてくれ!」と警告

   チャットGPTが注目を集めるなか、ライバル企業のAI開発が加速しています。

   グーグルは、チャットGPTやマイクロソフトの「Bing」に対抗する「バード(Bard)」を米国と英国で限定公開に踏み切りましたが、他の国や英語以外の言語向けにも順次展開するとしています。

   フェイスブックを運営する米メタも、文章や画像などを自動生成するAIを2023年内に商用化する、と発表。先頭を走るマイクロソフト、グーグル、メタの3社に続け、とばかりに、IBMやアマゾン、複数の中国企業が同様の技術に取り組んでいると報じられています。

   こうした状況を、海外メディアは、「アップルのiPhoneがグーグルに与えた脅威の再燃」「グーグルがマイクロソフトの総攻撃をかわして以来の戦い」と、巨大IT企業間の競争が激しくなっていることを伝えています。

   そんななか、イーロン・マスク氏らIT業界の有力者たちが、「AI開発競争を停止しろ」という書簡を発表して話題になりました。

Elon Musk and other tech leaders call for pause in 'out of control' AI race
(イーロン・マスク氏らIT業界有力者、「制御不能」なAI開発競争の停止を訴える:米CNN)
out of control:制御不能

Elon Musk:'STOP Chat GPT, It will rule us!'
(イーロン・マスク氏「チャットGPTを止めろ。我々が支配されるぞ」:米ITメディア」

   マスク氏らが懸念しているのは、AI技術開発が人間のコントロールを超えてしまう危険性です。書簡では「out-of-control race」(制御不能な競争)を、「少なくとも半年間」は停止するように警告。AI技術には、今の世界の姿を変える力があるというリスクを知り尽くしている専門家集団の警告は、重く響きます。

   さらに、「開発した人たちの理解や予想を超え、コントロールできないほど強力」なデジタルマインドを作ってしまった、という指摘は、AIがIT技術系の仕事を奪う、というビジネスインサイダーの分析と重なります。

   果たして、チャットGPTは「パンドラの箱」を開けてしまったのでしょうか。当のチャットGPTに聞いてみると、次のような答えが返ってきました。

――チャットGPTはパンドラの箱を開けてしまったのですか?(問)

.....いいえ、私は人工知能のモデルであり、パンドラの箱を開けることはできません。
パンドラの箱は、古代ギリシャ神話に登場する物語の中で、人類の不幸をもたらすものとして語られています。

――チャットGPTは制御不能なのですか?(問)

......私は、私を使用する人々によって制御されます。ただし、私が生成するテキストの内容は、私をトレーニングする際に与えられたデータに基づいて自動的に生成されるため、時には意図しない形で予測不可能な応答を生成することがあります。したがって、私を使用する際には、常に注意深く評価し、適切な文脈で使用するようにして下さい。

   ちなみに、上記の回答は「たった数秒」で表示されました。チャットGPTがそれなりの回答を瞬時で表示することは間違いありません。

   でも、問題は、回答の「中身」でしょうか。チャットGPT自身が指摘しているように、「注意深く」評価することが求められていると思います。

   それでは、「今週のニュースな英語」「out of control」(制御不能)を使った表現を取り上げます。

The machine went out of control
(機械が制御不能になった)

My children are out of control
(うちの子どもたちは手に負えない)

The argument is out of control
(言い争いは手がつけられない)

   ちなみに、当コラムを執筆する私、「井津川倫子」についてチャットGPTに質問をしてみたところ、「ミステリー作家」で「数々の賞を受賞している」との回答がありました。もちろん私ではありませんし、同姓同名の作家もいないはず...。

   チャットGPTをうのみにしてはいけない、とあえて警告された...そんな気がしました。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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