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個人投資家の8割、物価上昇による資産価値の目減りに不安 でも、対策をとっていない人多数

   多くのモノの値段が上昇するなか、物価が1年前と比べて「上がった」と答えた人は約9割。そのうち、家計が「圧迫されている」と答えた人が約7割にのぼることが、東京海上アセットマネジメントの「インフレ実感と投資行動に関する調査」でわかった。2023年3月31日の発表。インフレが多くの人の生活に影響を及ぼしている。

   そのような状況にあって、インフレで資産価値が目減りすることを「心配している」人は約8割。ところが、資産を守る対策をとっている人は約3割。一方、対策をとっていない人は約7割で、その理由は「どのような対策が必要かわからない」と答えた人が最も多かった。

インフレの実感、86%が「1年前から上がった」

   調査によると、「物価は1年前と比べて、どう変わりましたか」(n=1200)との問いに、「かなり上がった」と答えた人は57%、「少し上がった」は30%で、合わせて86%の人がインフレを実感していることがわかった。

   「ほとんど変わらない」は10%。「少し下がった」(2%)、「かなり下がった」(1%)と答えた人も、わずかだがいた。

   また、「インフレを実感している」と答えた人(n=1036)のうち、インフレが家計を「とても圧迫している」と答えた人は22%、「やや圧迫している」は51%と、合計で74%にのぼった。インフレは、約6割(86%×74%)の人の家計の支出に影響を及ぼしている。

   「家計にはそれほど影響はない」が24%、「家計にまったく影響がない」と答えた人は3%だった。

   さらに、インフレが家計を圧迫していると答えた人(n=764)のうち、87%の人が「出費を削減している(節約している)」と答え、大半を占めた。次いで、「これまでの貯蓄を取り崩している」と答えた人も28%と多かった。

   「新たな収入源を得た(副業など)」と答えた人は5%、「新たに借り入れをした」人は3%と、わずかだがいた。「その他」は1%。

価格が上昇したと実感するもの...「食料」と「光熱・水道」の2トップ

   回答者全員(n=1200)に、1年前と比べて価格が上昇した物やサービスを選んでもらったところ(複数回答)、「食料(食材・酒類購入量、外食費など)」が89%、「光熱・水道(電気・ガス・水道代など)」が88%と、突出。多くの人が値上がりを実感している。

   「被服および履物」(28%)や「娯楽」(24%)、「交通・通信」(21%)が続いた。【図1参照】。

図1 「食料」や「光熱・水道」の値上げを実感(東京海上アセットマネジメント調べ)
図1 「食料」や「光熱・水道」の値上げを実感(東京海上アセットマネジメント調べ)

   「インフレで家計が圧迫されている」、かつ「出費を削減している」と回答した人(n=662、複数回答)のうち、実際に「出費を削減した物やサービス」で最も多かったのは「食料」の68%。次いで、「被服および履物」(49%)、「娯楽」(44%)だった。

   「光熱・水道」と答えた人は41%。努力しているようだが、なかなか「節約」できないようだ。

1年間で「投資金額を増やした」人は24%

   今後のインフレの見通しを聞く(n=1200)と、インフレは「長く続く(3年超)」と答えた人は28%、「しばらく続く(6か月超~3年以内)」という回答は57%で、合計86%。の人が「長く続く」とみていることがわかった。「数か月続く(6か月以内)」、「わからない」はともに7%だった。

   「(長く)続かない(すぐに終息する)」と答えた人は1%にすぎない。

   また、「インフレが続く」と考えている人(n=1110)に、その理由を聞くと、「企業の原材料や人件費の増加による影響」と答えた人が最も多く、61%を占めた。

   次いで、「国際関係の悪化による影響」が60%、「円安の進行(輸入品の価格上昇)」が58%、「海外の物価上昇」の57%と続き、その差はほぼなかった。「日銀や政府の金融・財政政策による影響」は58%だった。

   インフレ懸念の材料が多岐にわたると考えている人が多いことがわかった。

   調査によると、物価が「かなり上がった」「少し上がった」と答えた人(n=1036)に、ここ1年間のインフレによって「投資(資産運用)の金額に変化はありましたか」と聞いたところ、「投資(資産運用)の金額は変えていない」と答えた人は71%で最も多かった。

   「金額を増やした」人は24%。一方、「金額を減らした」人は5%だった。

   また、回答者全員(n=1200)に、「インフレは資産の価値を目減りさせますが、どの程度心配していますか」と聞いたところ、「とても心配している」と答えた人は34%、「やや心配している」人は51%で、合わせて84%の人が「心配している」ことがわかった。【図2参照】

図2 インフレによる資産価値の目減りに「とても心配している」人は34%にのぼる(東京海上アセットマネジメント調べ)
図2 インフレによる資産価値の目減りに「とても心配している」人は34%にのぼる(東京海上アセットマネジメント調べ)

4人に1人が「インフレから資産を守る対策をとっている」

   そして、インフレから「資産を守る対策をとっていますか」(n=1200)と聞いて、最も多かった答えは、「対策をとる必要性は感じているが対策はとっていない」の65%だった。「対策をとっている」人は25%、「対策をとる必要性を感じていない」と答えた人は10%だった。

   また、インフレから資産を守る対策をとっていると答えた人(n=302、複数回答)に、「どのような対策をとっているか」と聞いたところ、最も多かったのが「株式や株式投資信託への投資」で97%を占めた。

   ほぼすべての回答者が該当していることになる。次いで、「不動産への投資」の16%、「コモディティ(金など)への投資」と答えた人も14%いた。「その他」は3%。

   一方、インフレから資産を守る「対策をとる必要性を感じているが対策はとっていない」と答えた人(n=780)のうち、その理由を聞くと、73%の人が「どのような対策が必要かわからない」と答え、最多。「どのような対策が必要かわかっているが行動に移していない」(26%)を大きく上回った。「その他」は1%だった。

   なお、調査は全国の投資信託を保有している20歳以上の人を対象に、2023年2月10日~12日にインターネットで実施。サンプル数は1200人(20代~70代の男女で100人ずつの均等割付)。