入社式「心を震わす社長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【2:熱き志で人々と社会に尽くす編】

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   新年度がスタートした2023年4月3日、多くの企業で入社式が行われた。

   ウクライナ危機、世界的なインフレと景気後退リスク、さらにAI(人工知能)時代の到来という未曽有の歴史の大転換のさなかだからこそ、多くの社長が心の底から新入社員を歓迎し、「一緒にこの危機を乗り越えていこう!」と熱いエールを送った。

   J‐CAST 会社ウォッチ編集が、「心を震わす社長の挨拶」を独断で選んでみた。

パーソルHD・和田社長「ハハハハと、はたらいて、笑おう」

   <入社式「心を震わす社長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【1:ビジネスで大切なこと編】>の続きです。

   企業の中には、創業の理念として社会のため、人々のために存在することを高らかに謳っているところが少なくない。そうした会社では、社会的使命を熱く語る社長が多かった。

パーソルホールディングス和田孝雄社長/入社式の様子(同社プレスリリースより)
パーソルホールディングス和田孝雄社長/入社式の様子(同社プレスリリースより)

   「ハハハハと、はたらいて、笑おう」と呼びかけたのは、総合人材サービスのパーソルホールディングス和田孝雄社長だ。和田社長は、パーソルグループの創業者篠原欣子(しのはら・よしこ)会長(88)を取りあげた。

「篠原さんが起業した当時(1973年)は、女性にとって決してはたらきやすいとは言えない世の中でした。『女性が意欲的にはたらく場所がないなら、自分が創ればいい』。そう心に誓った篠原さんは、強い意志と卓越した行動力で、パーソルグループの前身であるテンプスタッフを創業しました」
「篠原さんの志は、今でも企業の経営理念としてしっかりと根づいています。お客様の声にしっかりと耳を傾け、お客様のためになることは何か考え抜き、誰もが『はたらいて、笑おう。』を実現できる社会を目指して頑張ってほしいと思います」
「そこで、皆さんにぜひお願いしたいことがあります。それはまず、皆さん自身に『はたらくWell-being』を実感してほしいということです。『自分は仕事をしていて楽しいか?』『自分の仕事は人々の役に立っているか?』『自分の仕事は数ある選択肢の中から選んだものなのか?』。常に自分に問いかけてください」
「皆さんが『YES』と答えられる状態であることが私の願いです。そのためにも、自身の仕事に『意義』と『誇り』を感じて、皆さん一人ひとりの『はたらいて、笑おう。』を実現していただきたいと思います」

伊藤忠・石井社長「『三方よし』のSDGsの精神で」

伊藤忠商事の石井敬太社長(同社公式サイトより)
伊藤忠商事の石井敬太社長(同社公式サイトより)

   伊藤忠商事の石井敬太社長は、企業としての社会的使命を創業者、初代・伊藤忠兵衛の「商人道」から説き起こし、2つの大切な精神を訴えた。

「1つ目は、当社の行動指針である『ひとりの商人、無数の使命』です。創業者である初代伊藤忠兵衛翁(おう)の商人の心構えに学び、『商人の使命』は、商いを通して社会の課題を解決し、人々の暮らしを豊かにしてゆくことだと言う姿勢を表しています。すなわち、私たち伊藤忠社員一人ひとりは、仕事を通じて、無数にある社会の課題に挑戦し、解決してゆくと言う使命を負っており、高い意識を持って仕事に向き合えという事だと思います」
「2つ目は、『三方よし』の精神です。近年、企業経営におけるSDGsの重要性が一段と高まりを見せていますが、その中で、たびたび『三方よし』という言葉が引用されています。これは、売り手、買い手、世間の三方が共に満足すると言う共存共栄の考えにあり、伊藤忠兵衛翁に代表される近江商人の経営哲学をルーツとする当社の企業理念です」

   そして、こう呼びかけた。

「ビジネスの基本は信用です。信用の無い仕事は長続きしません。信用がまた次のビジネスに繋がり、信用の連鎖が生まれてゆきます。皆さんもこれからビジネスに携わって行く中で、色々な判断や決断を迫られる場面が出てくると思います。当社の『三方よし』は、この時の判断基準の1つになると思いますので、これも本日からしっかりと心にとどめてください」

クラレ・川原社長「世のため人のため、他人のやれないことをやる」

クラレの川原仁社長(同社公式サイトより)
クラレの川原仁社長(同社公式サイトより)

   「世のため、人のために尽くそう」と訴えたのが、繊維化学メーカーのクラレの川原仁社長だ。

「昨今、社会の潮流として企業の社会的責任や、社会貢献への姿勢がより強く問われるようになってきましたが、クラレには以前からずっとそれを体現してきた歴史があります」
「創業者である大原孫三郎は『社会から得た利益は、社会に還元する』という基本理念から、会社の経営基盤を固めつつ、さまざまな社会福祉活動や公共的な事業を行いました。第2代社長の大原總一郎もこれを受け継いで、さらに『企業が得るべき利潤は、技術革新による利潤、社会的、国民経済的貢献に対する対価としての利潤に限る』という理念を掲げ、独自の卓越した技術にこだわり、さまざまな困難を乗り越えて数々の事業を立ち上げ、会社を発展させました」
「その後も当社は、『世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる』という使命を掲げて、独創性の高い技術をベースに多くの世界ナンバーワン、オンリーワンの製品や事業を生み出し、自然環境と生活環境の向上に貢献してきました」

   そして、新入社員たちに「オンリーワンになれ」と呼びかけた。

ジェイテクトの佐藤和弘社長(同社公式サイトより)
ジェイテクトの佐藤和弘社長(同社公式サイトより)

   愛知県刈谷市に本社がある自動車部品メーカー、ジェイテクトの佐藤和弘社長も「オンリーワン」を強調した。

「皆さんそれぞれが、『Only One』であってください。ここにいる同期の皆と同じでなくていいのです。226名、皆が違って当たり前です。比べる必要もありません。地球のため、世の中のため、お客様のために、『自分だけにしかできないこと』を見つけてください」

   そして、ジェイテクトの基本理念を熱く語った。

「土も、水も、空気も永遠(とわ)に美しく。
すべての生き物が、幸せに暮らせる地球のために。
私たちの手から、笑顔があふれ出す世の中のために。
私たちを信じ、共に歩んでくださるお客様のために。」
「自分が何をすべきか、必ず見えてくるはずです。そして、困った時は迷わず声を上げてください。『本気』の仲間が、必ず手を差し伸べてくれます。『言いたいことが、言える会社』『やりたいことが、やれる会社』。ジェイテクトがそのような会社であり続けることを、私が皆さんに約束します」

日本郵船・曽我社長「『物流を止めない』使命ため社員5312人の命が失われた」

日本郵船の曽我貴也社長(同社公式サイトより)
日本郵船の曽我貴也社長(同社公式サイトより)

   日本郵船の曽我貴也社長は、会社の社会的使命である「物流を止めない」ために命を落とした先輩社員たちの話から語りかけた。

「日本郵船の創業は1885年、その長い航海は決して順風満帆なものではなく、最大の苦難の1つは第二次世界大戦です。大戦で当社は172隻102万トンの船舶と社員5312人の尊い命が失われました。終戦後は戦時補償も受けられない非常に厳しい環境下での再出発を余儀なくされました」
「それでも今日も存在し、繁栄を続けてこられたのは、その時々の社会からの要請に応えてきたからです。明治時代には日本の国際的地位向上と近代化のため外航航路を切り開き、戦後は日本の復興と高度経済成長を貿易面で支え、昨今の新型コロナやロシア・ウクライナ情勢による混乱の際も、『物流を止めない』を合言葉に、エネルギー、医療物資や生活必需品を世界中に届け、人々のライフラインを守ってきました」
「それこそが、『Bringing value to life.』(モノ運びを通じて、世界経済の発展と人々の生活向上に貢献していこう)という当社グループのミッションであり、存在意義であり、社会的使命です」
ローソンの竹増貞信社長(同社公式サイトより)
ローソンの竹増貞信社長(同社公式サイトより)

   コンビニ最大手のローソンの竹増貞信社長は、「自分の人生を豊かにすること」と「社会を豊かにすること」の2つが両立することをわかりやすく説いた。

「まず1つ目は、『時間を大切に』という事です。誰もが持っている時間は同じです。ただこの時間が、使い方によっては1日が25時間、30時間の価値にもなります。逆もあります。有限の時間の中で無限の可能性を発揮すべく、公私ともこの時間を有効に使い、自分たちの成長、喜びに繋げてください」
「2つ目は、『人生を豊かで充実したものに』して欲しいという事です。いかに公私ともに充実した人生を生きるか。皆さん一人一人の価値観との向き合いと、時間を有効に使うことで、充実した人生を自分の力で作り出すのだ、という想いを持って今日から一日一日を過ごしてください」
「3つ目は『すべてはお客様のためにある』という事です。コロナで私たちはビジネス面で大きな影響を受けました。その時に何を思ったか。もう一度『すべてはお客様のためにある』という原点に立ちかえって、すべての商品・サービス・グループ事業を見直そうと考え、この3年間新たなローソンを構築すべくみんなで尽力してきました」

   そして、次のような戒めも交えつつ、企業理念とともにエールを贈った。

「お客様のご評価でもある売上は、コロナ前以上に戻ってきています。これはすべての判断基準を単純明快に、お客様のためになるのかどうかということだけにした結果であると思っています」
「このお話した3つを大切にして、ローソングループの理念『私たちは"みんなと暮らすマチ"を幸せにします』、ビジョン『マチのほっとステーション』を一緒に目指していきたいと思います」

リコー・大山社長「人を愛し、地球を愛し、勤めを愛そう」

リコーの大山晃社長/入社式の様子(同社プレスリリースより)
リコーの大山晃社長/入社式の様子(同社プレスリリースより)

   最後に、OA機器メーカー、リコーの大山晃社長が、自分自身でも心底ほれ込んでいる「創業精神」への思いを紹介しよう。新入社員を前に熱くこう語った。

「リコーグループの創業の精神である『三愛精神』の実践です。三愛精神は、『人を愛し、国を愛し、勤めを愛す』という、創業者の市村清が発信した言葉です。私は入社以来、多くの経験をしてきましたが、悩む時にはいつもここを原点にして参りました」
「『人を愛す』というのは、まさしく社員を大切にする経営であり、お客様を大切にする事業運営です。私は三愛精神の言葉の中で、『人』が最初に出てくることが気に入っており、リコーの社風をよく表していると思います」
「そして、『国を愛す』。創業者は、戦後の日本の復興のために事業を始めたと聞いています。これを今の時代で解釈するならば、『地球を愛する』ということなのだと思います。この地球を次の世代、そしてその次の世代へとつないでいくために、いま何をしなければならないかを考え、実行に移していくことが私たちの使命であると考えています。企業の存在意義も地球あってこそのものです」
「最後に来るのが、『勤めを愛す』です。はたらくことを愛するというのは、とても意味深く、私たちの事業に示唆を与えてくれています。仕事は、自ら熱意と責任感を持って主体的に取り組めないと愛せません」

   そして、大山晃社長は今日、一般語になった「OA」の由来を語った。

「リコーは、1977年、世の中に初めてオフィスオートメーションという言葉を提唱しました。『OA機器』のその趣意書には、こう書かれています。『機械が出来ることは機械に任せて、人はより創造的な仕事をするべきである』......」

   半世紀近く前に提唱された精神は、今日のAI時代を先取りしていたと大山社長は強調した。

「創造的な仕事をすることで、人は仕事が楽しくなったり、働くことに歓びを感じたりするようになる。そのような変化において、リコーは常にお客様の『はたらく』に寄り添い続け、はたらくことで歓びや幸せを感じることに役に立つ会社でありたいと考えました。ここに私たちリコーの存在意義、パーパスがあるのです。まずは社員の皆さんが『はたらく』に歓びを感じられることが重要です。なぜなら皆さんのモチベーションが会社の宝であり原動力だからです」

   新入社員に向けた熱いエールの数々......「心を震わす社長の挨拶」はまだまだあります。<入社式「心を震わす社長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【3:仕事と人生に哲学を持とう編】>もぜひどうぞ。

(福田和郎)

2023年度「心を震わす社長の挨拶」シリーズ
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