2023年2月の消費者物価指数で、生鮮を除く食料が1976年7月以来46年7か月ぶりの伸びとなる7.8%の上昇となるなど、物価上昇が止まらない。
そうした、相次ぐ食品値上げのなか、4月から1世帯当たりの負担増が月2140円にのぼることがわかった。帝国データバンクが2023年3月31日に発表した。年間で約2万6000円増えることになる。
これまでのコスト増に加え、鶏卵の価格や電気代など新たな値上げに対応する価格転嫁が想定されるなか、同社は「2023年通年で前年に続き累計2万品目超えが確実となる見通しで、家計における食費負担は年後半にかけてさらに重くなる可能性が高い」とみている。
値上げラッシュの2年前から、年約3万7000円の負担増
断続的な食品の値上げが続くなか、家計への負担は前年の、2022年に引き続き重みを増しそうだ。
帝国データバンクが、この3月31日までにまとめた国内の主要な食品や飲料メーカー195社が4月以降に値上げする食品約9000品目の値上げデータと、総務省の「家計調査」における2人以上世帯の2021年度消費支出データをもとに、生鮮食品を除く食品値上げによる家計支出額の影響について試算した。
それによると、23年度における1世帯あたり家計への食費負担額は、節約など値上げへの対策を講じない場合、22年度の月平均から1か月当たり2140円、年間で約2万6000円増えることがわかった。
年間の消費支出額(21年度の平均330万円)のうち約1%が、食品値上げによって圧迫される可能性がある。
値上げラッシュが本格化した2年前と比べると、1か月当たり約3110 円、年間で約3万7000円増加するという。
家計の負担額を食品分野別にみると、前年度と比べて最も負担額が増加したのは「加工食品」で、月723円の負担増だった。加工食品では、3月末時点で年平均約15%の値上げ幅となるなか、ソーセージなど比較的使用頻度の高い食品分野での値上げが響いた。
「酒類・飲料」では月498円の負担増となり、1世帯当たり350ミリリットル缶チューハイ(約120円)4本分相当の負担が発生する可能性がある。
酒類・飲料では、ウィスキーやワイン、缶コーヒーなど比較的嗜好性の高い品目で値上げが多く、22年10月の缶ビール類の一斉値上げに比べると影響の度合いは小さくなった。【図1参照】
加工食品、乳製品、酒類・飲料... 止まらない食品値上げ
また、「乳製品」は月300 円増。購入頻度の高いパック牛乳などが値上げの対象となることで、試算では全食品分野のうち、3番目に負担が重たいという結果となった。
今後も、飼料価格の高騰などを背景に、生乳取引価格がさらに引き上げられる可能性があり、負担額は年度末にかけてさらに増加する可能性がある。
チョコレートなどの「菓子」が252円増、マヨネーズやドレッシングといった「調味料」が145円増と、増えた。
帝国データバンクによると、今後の食品値上げをみると、4月はしょうゆやマヨネーズ、ウインナー、輸入ワイン、パック牛乳・乳製品など5106品目が、5月にはサバ缶、乳幼児用粉ミルク、缶コーヒーなど778品目、6月にも即席めんやスナック・チョコレート、わさび・からし、カレールーなど2390品目の値上げが予定されている。
品目数次第ではさらに増え、2023年通年の値上げ品目は累計で2万を超えると予想している。家計における食費負担は、年後半にかけてさらに重くなる可能性が高い。【図2参照】
年後半にかけて家計の負担はさらに重くなりそうだ。
政府は3月、低所得者世帯向けの現金給付や、LPガス、大規模工場向け電力の負担軽減を柱とした総額2兆円規模の物価高対策を決定しているほか、電力大手7社が値上げ申請している電気代も「再生可能エネルギー賦課金の調整によって標準家庭当たり月800円の引き下げを表明している。
こうした取り組みが、物価高騰に苦しむ家計の負担軽減に、どこまでの「成果」をもたらすのか注目される。