商工中金の曖昧な「立ち位置」? 完全民営化で再燃する「民業圧迫」の声 戦々恐々「軒先貸して母屋まで...」

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むし返される不祥事 消えない「民業圧迫」批判

   不正が見つかった口座は4609件、融資実行額は2646億円、100店舗のうち97店で不正行為が行われ、不正に関わった職員は444人にのぼった(2017年10月時点)。

   17年5月、経産省が商工中金に業務改善命令を出したが、改善は進まず。その後の金融庁主導の立ち入り検査でも、続々と問題が発覚するという大失態だった。

   不正の原因は経営陣による過度なノルマ達成の大号令にあった。

   当時、「解体」を迫られた商工中金だったが、それを「完全民営化」への道筋と、それまで経産省の天下りポストだった「社長」のイスを民間にすげ替えることで解体を逃れた。

   コロナ禍もあったが、そうやって延び延びになっていた完全民営化が、「何事もなかったか」のように動き出す。

   経産省は昨年末から有識者会議を発足し、「商工中金の在り方」を検討していた。その中で、政府が保有する46.5%の株式を中小企業組合などに売却する一方で、中小企業支援を旗印に「危機対応融資を行う役割を維持する」ことを明記した。

   たしかに商工中金の特徴は、中小企業向けの「危機対応融資」にある。このコロナ禍でも中小企業の資金繰り難を受け、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の需要は急増していた。

   商工中金による協同組合などへの支援や中小企業への融資は、地方の地域経済の中で大きな存在であることも、わからないでもない。とはいえ、不正の舞台となった危機対応融資は継続してまで残しておく必要があるのだろうか――。

   加えて、今後は中小企業専門の金融機関として業務範囲を「銀行並み」に拡大するという。住宅ローンなどの個人向け融資は扱わないが、事業承継やスタートアップ(ベンチャー企業)を支援するファンドの設立を可能にする。そのうえ、地域金融機関との連携・協業の強化なども盛り込んでいる。

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