栗山監督のコミュ力を引き出す「ピグマリオン効果」
その一方で、若手選手が活躍したWBCで見せた栗山英樹監督の選手との「コミュニケーション術」が、経営幹部や人事担当者に大いに参考になると話題だ。「栗山イズム」といわれる、栗山監督の選手掌握術である。
連日、テレビのワイドショーで取り上げられる、そのコミュニケーション術で驚かされたのは、栗山監督と選手とのコミュニケーションの量と、多くの選手と直接、一対一で話をするというコミュニケーションを大切にする姿勢にある。
一般的に、組織における上下関係でのコミュニケーションは、一方的に上司が指示するだけだが、その量が多いだけでは必ずしもうまく機能しない。
上下関係のコミュニケーションは、量だけではなく、その中身――つまり「接し方」が重要である。このことは、漏れ聞こえてくるWBCの栗山監督の見せた姿や、談話や映像に改めて思い知らされるばかりだった。
そのコミュニケーション力の源泉が、「信じる力」であると思われる。選手を信じ、期待感を伝える続けるコミュニケーションが生みだす力だ。
これは教育心理学でいう「ピグマリオン効果」で、人はある特定の人に期待感を伝え続けていると、その人は期待に沿うようになるというものだ。
思えば栗山監督は、日本ハムファイターズに入団したばかりで、多くの人がまだ否定していた「二刀流」の大谷翔平選手を誰よりも「応援」して、新しい時代のヒーローを育て上げた張本人。
WBCでは、大一番のプレッシャーで不振にあえぐ若手の成長株でZ世代の村上宗隆選手(ヤクルト)を信じ抜いて起用し続けたからこそ、若き主砲に劇的なサヨナラヒットを「打たせた」といっても過言ではない。
おそらく若者のあいだでは、いまや「上司にしたい人NO.1」であろう栗山監督。そんな栗山監督に学ぶ「信じる力」を見習って、取り入れてみてはどうだろうか。Z世代との「教理」が縮まるかもしれない?
なお、学情の調査は企業・団体の人事担当者を対象に、2023年2月20日~28日に実施。有効回答数は、612件だった。