楽天銀行、東証プライム市場に新規上場へ...グループの財務改善がねらいか 立て直し急務の「赤字垂れ流し」携帯電話事業に「伸び代」は?

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「0円プラン」廃止で収益改善も、目標の1200万契約へは前途多難 カギは「楽天経済圏」の相乗効果

   肝心の携帯事業について三木谷社長は「設備投資は一巡しつつある」と話すが、23年12月期も前期とほぼ同水準の3000億円規模(24年12月期は1500億円規模)を見込む。

   データ使用量が月1GBまで無料という「0円プラン」の廃止(22年5月発表)で契約は減少したものの、1契約当たりの収入は増加し、収益は一定程度改善した。人件費などの経費削減にも努めている。

   だが、投資がいずれ一巡しても、契約数(22年12月末で449万)を増やす以外に、携帯事業の黒字化はない。足元では「0円」廃止の影響が薄れ、純増に転じてきているというが、目標の1200万契約に向けた道筋はなかなか描けない。

   もっとも、大手間の競争で重要な「通信の質」では、つながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の利用開始を24年3月と見込んでおり、実現すれば追い風にはなる。しかし、携帯の契約を伸ばすうえでは、やはりECなどと組み合わせ、楽天ポイントを武器にした「楽天経済圏」の相乗効果がカギを握る。

   22年10~12月の楽天Gのさまざまなサービスを月に1回でも利用した人は前年同期比11%増の3900万人いた。そして、このうち楽天モバイル契約者は12%程度にとどまるといい、ここが、いわば「伸びしろ」になる。

   子会社株の上場を含め財務改善に努めることはもちろん重要だが、経済圏の魅力をさらに高めていけるかが、楽天Gの将来を決める。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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