早すぎて見えづらい企業の採用、学生に動揺も
さらに、早いスタートダッシュを反映して、進路確定率も2割以上の21.0%(同プラス2.9%)と高い水準に達している【図表4】。
その一方で、昨年以上に内定辞退企業数が多いことも今年の特徴だ。早くも2社以上を辞退した人が9.9%いるのだ。内定辞退率は3月1日時点から11.1ポイント増加し、32.2%(プラス8.3ポイント)と前年に比べ高い。
こうした結果から、特定の業種、特定の学生に内定が集中することなく、幅広く分け合う傾向が見られることが、昨年に続き今年の特徴のようだ。
就職活動の実施率をみると、85.4%で昨年同時点(86.4%)よりやや低い。具体的な活動内容を聞くと(複数回答可)、「就職に関する情報を収集した」(88.5%)、「エントリーシートなどの書類を提出した」(82.6%)、「適性検査や筆記試験を受けた」(80.2%)、「インターンシップに参加した」(74.1%)などが上位に並んだ【図表5】。
ほぼ全員が情報集めを開始しており、具体的に適性検査や筆記試験などの選考試験を受ける段階まで進んだ学生が多いことがうかがえる。
就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏はこうコメントしている。
「3月18日までの活動実施状況のうち、前年同月より10ポイント以上高い項目は、『Web上での面接を受けた』が68.2%、『面接など対面での選考を受けた』が53.9%で、前年より多くの学生が既に選考を受けていることが分かります。 政府による『就職・採用活動に関する要請』において、2024年卒の採用選考活動開始は卒業・修了年度の6月1日以降とされていますが、6月1日時点の内定率はコロナ禍による一時的な低下を除き年々上昇傾向です。 2024年卒は3月中旬時点ですでに4割弱である状況は、企業の採用意欲の高さの表れだと捉えれば学生にとって望ましいことにも思えますが、企業の採用スケジュールが見えづらくなると学生の混乱を招く可能性もあります。 学生が学修時間等を確保しながら混乱せず就職活動に取り組むことができているのか、改めて考える時期に来ているのではないかと感じます」
年々早まる「就活戦線」のあり方に警鐘を鳴らした。
調査は、2023年3月18日~23日、2024年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生3219人(大学生2476人・大学院生743人)にアンケートした。(福田和郎)