「東芝」経営再建、「上場廃止」選択でひとまず着地 国内投資ファンドJIPの「2兆円」TOBで、東芝の衰えた「稼ぐ力」を立て直せるか?

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総額2.5兆円規模とされた買収額...事業環境の悪化などから、結局は2兆円規模に

   では、TOBは成立するのか。最大の問題はTOB買収価格だ。

   TOB価格の4620円は3月23日の終値(4213円)を1割程度上回り、直近6か月の平均(4683円)とほぼ同じ水準で、これをどう評価するかということになる。

   最初の買収提案が明らかになった2021年4月以前の6か月の平均株価は3195円、提案発覚直前でも3800円台だったのが、一気に4500円台に急騰。その後、4000~5000円で推移した後、2022年に非上場化へ向けた動きが強まると騰勢を強め、22年6月には5938円をつけた。

   ところが、東芝を取り巻く事業環境が悪化する。

   特に痛手だったのが、データセンターに使われる大容量のハードディスクドライブ(HDD)の需要の落ち込みだった。このほか、発電システムの製品不具合による品質保証引当金の計上、グループで唯一上場している子会社東芝テックの株価低迷による評価損の計上も余儀なくされた。

   22年5月時点の2023年3月期の営業利益予想は1700億円だったのが、23年2月時点では950億円まで下方修正された。

   株価は昨秋からジリジリ値を下げ、JIP側との協議の中で買収価格も切り下げられていった。昨秋のJIPに優先交渉権と報じられた時点で総額2.5兆円規模というのが「常識」だったが、結局、2兆円規模になった。

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