約3割の議決権を握るとされる「物言う株主」海外ファンドの影響力、再建の足かせに
東芝は買収受け入れを決めた3月23日夜に公表した資料で「当社の事業環境や経営課題の解決に資するもの。安定した経営基盤を構築し、株主からの統一的な支援を得ることができる」と説明したように、「株主からの統一的な支援」が、今回の買収劇のポイントだ。
物言う株主の海外ファンドが現在でも合わせて議決権の約3割を握るとされ、そことの関係がぎくしゃくし、再建の障害になってきた。
2020年7月、定時株主総会で大株主のファンドが提案した独自の取締役の人事案は否決された。だが、ファンド側の意向で設置された調査委員会が「(東芝の経営陣が)経済産業省と一体となって複数の株主に圧力をかけた」などと認定。21年の総会では、会社側が提案した永山治取締役会議長(当時)ら2人の再任人事案が否決された。
22年には経営再建に向けた会社の2分割案を経営陣が出したが、臨時株主総会で否決。6月の定時総会ではファンド出身者2人が社外取締役に選ばれるなど、12人中6人がファンド側と関係があるという取締役構成になった。
TOBに株主の3分の2以上が応じて成立すれば、最終的に100%をJIPが握り、唯一の株主となる。JIPは意思決定を速めて経営改革に乗り出す。
いうまでもないことだが、物言う株主のファンドは短期の収益を優先し、株主への利益還元策(配当増など)の強化を求めるとともに、早急に高値で売り抜けることを目指している。非上場化は、そもそも、ファンドが求めてきたことだ。