「おトクに初回お試し」のつもりが契約したら、高額の定期購入だった!
通信販売をめぐり、こんなトホホの被害が続出しているため、国民生活センターは2023年3月15日、「『定期購入』トラブル急増!!―低価格を強調する販売サイトには警戒が必要!」という警告リポートを発表した。
分かりづらい広告表示にだまされたことに気づき、あわてて解約しようとすると連絡がつかなくなる悪質は業者もいる。詐欺まがいの手口に引かからない対策は?
解約の電話がつながらず、メールも返信がこない
国民生活センターによると、最近、通信販売で「低価格」「いつでも解約可能」などと表示された「定期購入」の広告が増えている。そこで、1回だけ「お試し」に商品を購入、2回目以降を解約しようとすると、知らないうちに「定期購入」を契約させられていたという被害相談が全国の消費生活センターに寄せられている。
2021年度は5万8526件だったのが、2022年度(2月末現在)には7万4146件と1.26倍に増えた【図表1】。こんな事例が代表的だ。
【事例1】初回のみの2000円の美容液のつもりが、1万円以上4回購入が条件の定期購入契約だった
スマホで通常価格1万円以上する美容液が、初回限定の約2000円で購入できるとの広告を見て、販売サイトにアクセス。チャット形式の入力画面で注文した。商品が届いたが、同梱されていた納品書に、次回お届け予定日についての記載があるのに気づき、驚いて販売業者に連絡した。すると、「初回を含め全4回の購入が条件の定期コースになっている」と言われた。
「そのような注文をした覚えがない」と伝えると、「解約を希望するなら約1万円の解約手数料を支払う必要がある」と言われた。定期コースであることも、解約手数料がかかることも知らなかった。解約手数料を支払わずに定期コースを解約したい。(2023年2月・50歳代女性)
【事例2】「いつでも解約可能」なシミ取りクリームが肌に合わず、解約しようとしたが手続きができない
SNSで、定価1万円のシミ取りクリームが特別価格約2000円という広告を見て、販売サイトにアクセスし、「いつでも解約可能」な定期コースと認識して注文した。初回の商品が届き、使用してみたが肌に合わなかったので、2回目の商品が届く前に解約しようと思い、販売業者に電話で連絡した。
しかし、電話がなかなかつながらず、つながっても自動音声案内になり、「解約希望」を選択すると携帯電話にSMSを送信すると案内され、うまく解約手続きができなかった。そのため、メールで販売業者に解約したいと連絡したが、返事はなかった。
改めて販売業者に電話で連絡したら、「初回のみで解約する場合は定価との差額約8000円を支払う必要がある」と言われた。定期コースであることは知っていたがいつでも解約できると思っており、初回で解約する際に定価との差額を支払う必要があるとは思っていなかっ た。どうしたらよいか。(2023年1月・50歳代女性)
小さな字で分かりにくい契約表示の罠
こうした事例の問題点は、販売サイトで「いつでも解約可能」「初回、低価格でのお試しOK」などの表示につられて、実は「定期購入」が条件である契約内容と知らずに申し込んでしまった点にある。
特定商取引法では、販売業者は、取引の基本的な事項を最終確認画面などで明確に表示することが義務付けられている。しかし、表示されても、消費者に誤解を与える表現だったり、小さな字で分かりにくかったりする表示が少なくない。
そこで、国民生活センターでは、注文する際のチェックリストを紹介、契約条件の細部をしっかり確認するよう呼びかけている【図表2】。
主な注意点は次の通りだ。
(1)最終確認画面は、スクロールして最後までしっかり確認する。
(2)定期購入が条件になっていないか?
(3)(定期購入が条件の場合)継続期間や購入回数が決められていないか? 支払う総額はいくらか?□解約の際の連絡手段を確認したか?
(4)解約・返品できるか? 解約・返品できる場合の条件(返品特約)はあるか? 解約条件を確認したか?
(5)商品が届く予定日や、利用規約の内容を確認したか?
そして、上記の契約条件が記載されている画面をスクリーンショットで保存しよう。
また、「いつでも解約できる」と表示されていても、実際に解約しようとすると、電話がつながらなかったり、オンライン上の解約手続きがうまく進められなかったりと、簡単に解約ができない悪質な販売業者が存在するため、まず販売業者の情報や評判を入念に調べることが大切だ。(福田和郎)