軍事戦略から生まれた「OODAループ」...政治、スポーツでも活用
OODAループは、アメリカ空軍大佐のジョン・ボイド氏が提唱した、敵に勝利するための基本理論である。当初は、戦闘機パイロットとしての経験に基づいた、一瞬の戦闘に勝つためのものだった。これに、ボイドが諸科学の知見を取り入れて汎用性を持たせた結果、OODAループは政治、ビジネスやスポーツにまで広く活用されるようになった。
とくに、欧米では「どんな状況下でも的確な判断・実行により、確実に目的を達成できる理論」として認められるようになっている。世界中の軍隊はもちろん、シリコンバレーを中心に、ビジネスエリートが好んで使う思考法としても知られるようになった。
思考法の代表的なものに、ロジカルシンキングがある。複雑な問題を整理・分析して道筋を立てることができるが、全てがロジカルに説明できないこともある。コンセプトシンキングは、バラバラの断片的な情報から筋道を立てる手法だが、この手法もかなりレベルの高い仮説力が必要とされる。誰でも簡単に使えるというものではない。
OODAループと、既存の思考法との明らかな違いは「汎用性」であると考える。誰もが使用できて、同じ回答が導き出されるものでなければ、思考法として意味をなさないからである。
本書では軍事戦略をベースに、従来のリーダーシップについて話をしていくと同時に、多様化するビジネスでの活かし方について言及されている。組織力をどのように向上させていくのか、さらには事業開発の方法やビジネスでのクリエイティブ設計はどのように深化していくのか。関心のある方には、一読してもらいたい。(尾藤克之)