資格が「引き出しの多さ」示す
ただ、注意したいこととして、「残念ながら、〇〇の資格を取れば、データサイエンティストに必ずなれる、というものは存在しません」とあった。
しかしながら、当のデータサイエンティストたちは、スキルアップのために、さまざまな資格を取ろうとしている。それは守備範囲が広がっているからだという。
ひと昔前までのデータ分析の実務は、いわゆる統計ソフトを使うだけで完結していたが、近年は、データ分析の「前処理」やプログラムを書くなど、自分でしなければならないことが増えている。
資格を取ることは、こうした「引き出しの多さ」を示すための、最も分かりやすい方法だという。
これからのデータサイエンティストに求められるものとして、「現場のビジネス」を理解できる力、専門的なことを「わかりやすく」伝える力、具体的な「最適解」を提案する力などを挙げている。
経済産業省の試算によると、日本の企業において、データサイエンティストが含まれる先端IT人材は、2030年には約54万人不足すると言われている。ビジネスに「科学」を導入したデータサイエンティストが活躍する領域はますます増えそうだ。(渡辺淳悦)
「データサイエンティスト 基本スキル84」
野村総合研究所データサイエンスラボ編
日本経済新聞出版
1100円(税込)