国籍、女、男、言語...みんな等しく認め合う社会に
東京外国語大学の林佳世子(はやし・かよこ)学長は、世界の人々の多様性を認める「大きな心」を持ってほしいとエールを贈った。
「今となっては笑い話ですが、Zoomでの授業が始まった頃は、本当にいろいろなことがありましたよね。Zoomに先生が入ってこないとか、映らないとか、映ってはいけないものが映ったとか。そんなドタバタも懐かしい思い出です」
「コロナ禍は、社会全体に対しても大きな傷跡を残しました。社会の断絶が深まったことも憂慮されることのひとつです。ちょっとした意見の違いから人格全部を否定する傾向、失敗を許容しない社会、あるいは、自身の意見を力で押しとおそうとする傾向が、私たちの身近なところでも、世界全体でも、強くなっているような気がしてなりません」
「しかし、本学で学んだ皆さんは、その対極にあります。社会にはさまざまな要素があり、世界は、そうした多様性からなっており、それぞれに等しく価値があり、対話により人と人は寄り添えることを、皆さんは体感され、それを普通のことだと思っていると思います」
そして、多様性を認め合う社会をつくるために頑張ってほしい、と呼びかけた。
「ただ、皆さんが、これから生きていく社会は、それが普通ではないところかもしれません。どうか、それぞれの居場所で、東京外大で培われた皆さんの属性、つまり、国籍による区別もなく、女も男もなく、多様な言語には等しく価値があり、互いを学びあうことで近づくことができることを、社会のなかで、体現していってほしいと思います」
「卒業したあと、あれ、自分と似た人がいると思ったら、東京外大卒のひとだったという話はよく聞きます。今日から、東京外大卒業生に仲間入りをするわけですが、その一人として、これからの社会を変えていく力となり、活躍されることを、心から祈っています」