「コンタクトセンターは無理!」 職場による「週休3日格差」が発生
「週休3日制」をめぐっては、要員問題のほかに、職種による「格差」も指摘されています。
これまでの実験で、マーケティングやコンサルタントのような専門職は「週休3日制」を導入しやすいとされていました。プロジェクトベースで仕事ができ、スケジュール管理や締め切りに裁量がある部署は「週休3日制」に向いている、という共通項があるようです。
逆に、週7日間稼働しなければいけない業種、たとえば危機管理対応や公共交通機関、ロジスティック会社などは「『週休3日制』がなじまない」と報告されています。
That's not available to our contact center team
(コンタクトセンターでは、週休3日制は無理だよ)
また、会社内でも、職場によって「格差」が生じているようで、コンタクトセンターのような顧客対応の職場は「週休3日制に向かない」との事例が報じられています。多くのコンタクトセンターは月曜から金曜日の週5日稼働する必要があるため、フレキシブルな働き方が難しいという評価です。
同じ社内で、週に3日休んでいる部署もあれば2日しか休めない部署がある、という状況は、マネジメントに問題が生じることでしょう。
さらに、人によっては、週5日働くことを好む人や、残業代を稼ぎたい人もいると指摘されています。ある企業は、「週休3日制」を導入する代わりに、「週休2日制」のままで「1日当たりの勤務時間を6時間に減らす」という選択肢を用意したところ、非常に好評だったというレポートもありました。
また、「週休3日制」の継続を決めた企業でも、「半年で生産性を判断するには短すぎる。最低でも1年トライしてから判断したい」という「様子見」の企業もあるようです。
こうした事例を見ると、BBCが指摘しているように「週休3日制」がすべての問題を解決するわけではありません。それでも、社会全体がより柔軟な働き方に向かって動いていることは否定できない事実でしょう。実験で浮き彫りになった課題を一つひとつクリアすることで、「週休3日制」の実現が近づくのだと思います。
それでは、「今週のニュースな英語」は、「afford to」(~する余裕がある)を取り上げます。ビジネスの場面やTOEICでもよく使われる頻出表現の一つです。
Bob Dylan couldn't afford to live here
(ボブ・ディランは、このあたりに住むほどのお金がなかった)
Can people afford to pay for health care?
(人々は、ヘルスケアにお金を払う余裕があるのか?)
We can't afford to give employees a pay rise
(従業員の給料を上げる余裕がない)
今回の実験の「功績」は、休みを増やすためには要員計画や作業の合理化など、マネジメント側のスキルが求められる、ことを明らかにしたことでしょう。
ただ「1日多く休め!」と命じるだけでは「週休3日制」は浸透しない。一番プレッシャーを感じているのは、経営者たちかもしれません。(井津川倫子)