女性の約3割が「もっと働きたい」! 老後資金に懸念、育児・家事の負担が軽くなれば...

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   多くの女性が老後の資金不足に懸念を抱くなか、家事や育児の負担が軽減できれば「もっと働きたい」と考えている女性が29%にのぼることが、フィデリティ投信(東京都港区)の「女性のお金の事情や経済的自立、ウェルビーイング(幸福度・満足度)に関する調査」でわかった。2023年3月7日の発表。

   また、キャリアロスを経験した女性も2割ほど存在。出産前後で収入が下落する「チャイルドペナルティ」が重くのしかかっている現状と、これらが収入格差や老後の不安につながっていることが浮き彫りになった。

給与や昇進でジェンダー格差 女性の24%が「不利益受けた」

   調査によると、「ジェンダーにより賃金や昇進で不利益を受けたと感じたことがある」と答えた女性は24%にのぼった。男性は15%と、9ポイントの差があった。

   また、「職場でのジェンダー格差は以前より改善されている」と答えた女性は32%と、男性を12ポイントも上回ったほか、「育児や家事の負担が少なければ、今より賃金が高く昇進していたと思う(キャリアロス)」と答えた女性は18%、「育児や家事の負担が少なければもっと働きたい」という女性は29%と、いずれも男性を大きく上回った。

   多くの女性が職場や家庭でジェンダー格差を感じていることがわかった。【図1参照】

kaisha_20230322115738.png
図1 多くの女性が職場や家庭でジェンダー格差を感じている(フィデリティ投信調べ)

   岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」で、女性の経済的自立は「成長と分配の好循環」を実現するための重要な施策に位置付けられている。

   今回の調査では、「経済的自立を高めるために最も効果的なのはなにか?」(複数回答)の問いに、男女とも「より高い賃金」(男性45%、女性42%)と答えた。「投資・金融に関するより良い教育」(男性25%、女性19%)が続いた。【図2参照】

   フィデリティ投信の取締役副社長兼運用本部長、鹿島美由紀氏は、

「政府や企業による男女の賃金格差改善への取り組みが、経済的自立を高めるために効果的と考える女性は、男性の1.5倍にのぼりました。賃金格差の開示に加え、格差の原因分析と是正に向けた行動計画の開示など、政府や企業によるさらなる取り組みが求められます」

とコメントしている。

kaisha_20230322115803.png
図2 経済的自立を高めるために最も効果的なのは?(フィデリティ投信調べ)

女性の56%が老後資金不足を懸念

kaisha_20230322115827.png
図3 女性のほうがお金の管理に興味はあるが、投資や知識に自信がない(フィデリティ投信調べ)

   また、男性の50%、女性の56%が老後の資金不足を懸念している。

   「老後資金を増やすためにやろうと考えていることはありますか?」(複数回答可)との問いに、「退職まで投資を続ける」(10%)や「老後(退職後)も投資を続ける」(11%)など、「資産運用」を選んだ女性は少なく、「支出を減らす」(44%)や「貯蓄を増やしていく」(21%)と答えた女性が目立った。【図3参照】

   調査によると、「自分のお金を積極的に管理している」女性は43%。「自分のお金を管理することに興味がある」と答えた女性が47%と、女性のほうが男性よりもポジティブな回答が多かった。

   ただ、「お金に関する知識全般に自信がある」人は、男性は24%だったのに対して、女性は15%にとどまった。【図4参照】

   投資をうまくやる自信がないと答えた女性は少なくなく、これにインフレによる生活費の上昇懸念や株式市場の混迷が加わり、投資を控える女性が多くなったとみられる。

kaisha_20230322115845.png
図4 女性のほうがお金の管理に興味があり、積極的に管理している(フィデリティ投信調べ)

女性の収入と貯蓄額は引き続き増加、投資額は減少

kaisha_20230322115909.png
図5 「まったく自立していない」と答えた女性が増えた(フィデリティ投信調べ)

   女性を対象に「経済的に自立していると思うか」と聞いたところ、「非常に自立している」の5%と「ある程度自立している」の25%を合わせた30%の女性が「自立している」と答えた。

   その一方で、46%の女性が「まったく思わない」(26%)、「あまり思わない」(20%)と答えるなど、前回よりも女性の経済的な自立意識は鈍化していることがわかった。【図5参照】

   さらに、女性のお金の事情を直近の3年間でみると、個人所得は前年より「増えた」ものの、貯蓄額は「ほぼ変わらない」と答えた人がやや増えた。貯蓄額が「増えた」人は、ほぼ横バイ。投資額は「ほぼ変わらない」と答えた女性が80%を占めた。【図6参照】

   前回(2022年)の調査で、投資額を増やした人は男女ともに前年比で倍増したが、今回の調査で女性は前年の半分以下の9%。男性も3分の2まで減ったことがわかった。

   調査では、少なくない女性が貯蓄や投資をうまくやる自信がないと答えている。これにインフレによる生活費の上昇懸念や株式市場の混迷が加わり、投資を控える女性が増えてきたとみられる。

kaisha_20230322115941.png
図6 女性のお金の事情、直近3年間の推移(フィデリティ投信調べ)

   なお、調査は18歳~69歳までの男性1051人、女性1050人の合計2101人を対象に、お金の事情や経済的自立、ウェルビーイング(幸福度・満足度)などに関して、男女の違いに着目して分析。2022年12月22日~23年1月10日にインターネットで実施した。この調査は今回で3回目。

姉妹サイト