幸福と成功の方程式のカギを握る「考え方」
岡本学長は2点目として、「『考え方』を変えれば人生は180度変わる」という稲盛氏の信念を紹介した。稲盛氏には、「人生をよりよく生き、幸福という果実を得るには、どうすればよいか」という幸福と成功の方程式があるという。それがこれだ。
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」
つまり、人生や仕事の成果は、これら3つの要素の「掛け算」によって得られるものであり、決して「足し算」ではないという点がポイントだ。
岡本英男学長はこう語った。
「能力とは才能や知能とほぼ同じであり、多分に先天的な資質を意味します。また熱意とは、事をなそうする情熱や努力する心のことで、これは自分の意思で制御することができる後天的な要素です。掛け算ですから、能力があっても熱意に乏しければ、いい結果は出ません。逆に能力がなくても、そのことを自覚して、人生や仕事に燃えるような情熱で当たれば、先天的に能力に恵まれた人よりもはるかにいい結果が得られます」
ここで重要になるのが、掛け算の式の頭にある「考え方」だ。
「稲盛さんは、このうち最初の『考え方』こそが、3つの要素の中で最も重要で、この考え方次第で人生はほぼ決まってしまう、と主張されます。考え方には、いい考え方もあれば悪い考え方もあり、プラスの方向に向かってもてる熱意や能力を発揮する生き方もあれば、マイナスの方向へ向けてその熱意や能力を使う人もいます」
考え方という要素には、マイナス点も存在する。だから、熱意や能力の点数がいくら高くても、この考え方のところがマイナスだったら、掛け算の答えである「人生や仕事の結果」もすべてマイナスになってしまう恐ろしさがあるのだ。
「それでは、『プラス方向』の考え方とは、どのようなものでしょうか。稲盛さんは、それは常識的に判断されうる『よい心』のことだと述べ、次のような例をあげています」
「つねに前向きで建設的であること。感謝の心をもち、みんなと一緒に歩もうという協調性を有していること。明るく肯定的であること。善意に満ち、思いやりがあり、やさしい心をもっていること。努力を惜しまないこと。足るを知り、利己的でなく、強欲でないこと...」
最後に岡本学長はこう卒業生に訴えた。
「仕事を心から好きになり、一生懸命精魂を込めて仕事に打ち込んでください。明るく前向きで建設的な人間でいてください。感謝の気持ちを忘れることなく皆と協調的に生きてください。善意に満ち、思いやりがあり、やさしい心を持ちつづけてください。『生きとし生けるものとの共存』をつねに意識して生活してください。皆さんがこのような人間になることを今世界は切実に求めています」
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(福田和郎)
「心を震わす学長の挨拶」シリーズ
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