地球人口の半数以上が8か国に集中する、暗黒の未来に希望は?
地球の将来はどうなっていくのか――。卒業生たちが80歳代になった頃に訪れるディストピア世界(ユートピアの逆となる世界)を、きわめて具体的に描いてみせ、逆説的なかたちで卒業生を励ましたのが、駒澤大学の各務洋子(かがみ・ようこ)学長だ。以下は、令和4年度(2022年度)9月学位記授与式(卒業式)での学長式辞だが、ぜひ取り上げたい。
各務学長は、世界の人口爆発のすさまじさをこう訴えた。
「今年は、地球に80億人目の住人が誕生すると見込まれる節目の年を迎えました。国連経済社会局人口部の『世界人口推計2022年版』によると、今年11月15日には80億人に達するとのことです。この先、2050年には97億人、2080年代、皆さんが生きている間に、約104億人でピークに達し、しばらくそのレベルに留まると予測されました」
「その間、日本を含めた61の国や地域では人口が減少傾向にあり、人口の半数以上は8か国に集中すると分析されています。その8か国とは、インド、エジプト、パキスタン、フィリピン、そしてアフリカの4か国(エチオピア、コンゴ共和国、タンザニア、ナイジェリア)です」
人口超密集地帯と減少地帯という、想像を絶する格差が地球規模で生まれるわけだ。いったい、どうなるのだろうか。各務学長はこう結んだのだった。
「パンデミックや戦争、人口爆発と、想定外の深刻な問題はますます地球環境を悪化させる原因になります。皆さんが大学時代に専門とされた学問が何であろうとも、こうした世界を巻き込む地球環境の変化に対して共に乗り越えていかなければなりません」
「幸い、本学を卒業される皆さんは、こうした先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代を力強く生きる『智慧と慈悲の精神』をもち、『しなやかな、意思』を身に付けています。誇りをもって大海に乗り出してください。本学で学んださまざまな知識と知見を社会の現場で日々実践してほしいと思います」
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(福田和郎)
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