DX事業のPMが積極募集されている理由
三菱総研の株価は、2014年には1000円台で推移した時期もありましたが、2018年7月に5500円をつけるまで順調に上昇。2020年3月にはコロナショックで2560円まで落ち込みましたが、その後は回復に転じ、2023年2月には5310円の高値に。現在は5000円前後を推移しています。
2022年9月期に経常利益100億円を突破し過去最高益を記録している三菱総研は、業績好調であることに間違いありません。しかし、同様のITコンサルティングを行っている会社が、DXを追い風に急成長しているのと比べると、業績伸長の勢いが強いとはいえないかもしれません。
営業利益率は1桁台で、野村総研の17.4%、電通国際情報サービスの14.4%、TISの11.3%と比べても大きく下回ります。
官公庁向けと金融業向けという「大口固定顧客」が連結売上高に占める割合が4分の3にのぼるため、それ以外の一般事業会社で急増するDX案件を獲得していく社内体制がとられていないのかもしれません。
ただし、三菱総研の採用サイトを見ると、「三菱総研が推進するDX事業 社会課題解決に取り組むプロダクトマネージャー募集」という特設サイトへのリンクが貼られており、DX領域への事業拡張の意欲が垣間見られます。
サイトには「海運・データ利活用」「電力」「デジタル通貨・地域活性化」「スポーツ・キャリア」といった具体的なプロジェクトの概要と、そこに関わるプロジェクトマネージャーの生の声が紹介されています。
ITシステムによる課題解決策や運用などを伴う戦略提言が求められる昨今、三菱総研でも今後はDX領域への積極的な進出によって、業績をさらに伸ばしていく余地が大いにあると考えられるのではないでしょうか。(こたつ経営研究所)