WBC優勝の陰に、優れたチーム・マネジメントあり! 日本代表選手たちを「その気にさせた」栗山英樹監督3つのポイント(大関暁夫)

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本当の「信じる力」とは...ただ黙って待てばいいのではない

3 メディアで話題の「信じる力」のベースにあるもの

   負けたら終わりのWBC決勝ラウンド最大のヤマ場は、メキシコとの準決勝での村上宗隆選手(ヤクルト)の活躍による逆転サヨナラ勝ちにあったと、さまざまなメディアが伝えています。

   村上選手はそれまで不振に苦しんでいたのですが、復活を信じて彼を中軸で使い続けた栗山監督の采配と、それを支えた「信じる力」を絶賛する声が各方面から聞こえています。

   しかし、この「信じる力」は、ただ黙って信じて待てばいい、というわけではなかったはずです。この点に関するヒントを、日本ハム時代から監督と「二人三脚」で成長してきた大谷翔平選手が話していました。

「栗山監督はとにかく我々選手一人ひとりとコミュニケーションを密にとってくれるので、安心してやれます」

   そう話していた彼のコメントからは、栗山監督の細やかな配慮に裏打ちされた選手掌握術がよく分かります。監督と選手の信頼は、どちらか一方向だけでは成り立たないわけです。双方向での信頼を勝ち得るためには、まず上の者から、「どうして欲しいのか」「何を期待しているのか」について明確に意思を伝え、そのうえで膝を詰めて、お互いに理解しあうことが重要です。

   栗山監督は、大学時代に教師を目指して教職課程を学んだとこが活きているのでしょう。指導者としてあるべき部下との接し方を理解したうえで、一人ひとりの気持ちをしっかりと捕まえているからこそ、その「信じる力」が有効に働いたのだと思います。

   以上の話はもちろん、優勝という結果が伴ったからこそ言えることであり、結果論的な話と言われればそれまでかもしれません。

   しかし、成功の陰には必ず他の世界でも参考になるエピソードがあるのもまた確かです。そのような目で祝賀報道を見てみれば、まだまだ多くのヒントが隠れていると思います。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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