組織にいち早く馴染むには? ヌートバー選手に学ぶ
2 あえて未知の戦力を重要ポジションに投入する
大会開幕当初から多くのメディアで取り上げられているように、米国籍の日系人メジャーリーガー、ラーズ・ヌートバー選手(米セントルイス・カージナルス)の大抜擢も、チーム・ビルディングにおいて大きな起爆剤となったと言われています。
ハッキリ申し上げて、ヌートバー選手は、大会前まで、余程のメジャーリーグファンでない限り、日本ではほぼ無名に近い存在でした。栗山監督が彼を限られた代表選手の一人に選んだ時、「他に選ぶべき選手が国内にいるのでは」といった声がファンだけでなく、評論家の一部からも聞こえていました。
栗山監督はヌートバー選手を招へいした決め手についてテレビのインタビューで、「本人と直接会って話をして、その性格のすばらしさを知り一発で決めた」と話しています。「一番バッターという切り込み役と、外野守備の要となるセンターを彼に任せた」のは、まじめで前向きで明るい性格を見込んでのものだった、と振り返っていました。
面識の薄い者同士でのチームの一体感づくりに、メンバー共通で未知の存在であり、かつ、明るい性格で組織にすぐ馴染めそう、と栗山監督自身が確認し、確信したわけですね。しかも、そんな彼を、メンバー相互の壁を取っ払うつなぎ役的存在として期待し、抜擢したというのは、間違いなく栗山監督のファインプレーであったといえるでしょう。
逆に、ヌートバー選手から企業勤務者が学ぶべきは、転勤などで顔見知りがいない組織に突然放り込まれた時に、どうすれば早く組織に馴染んで他のメンバーたちとうまくやっていくことができるかです。
それはすなわち、自分から進んでコミュニケーションをとる積極性と自己に与えられた仕事に対する誠実かつ一生懸命な姿勢――この2点に尽きるのだと、ヌートバー選手は教えてくれたと思います。