AIと人間との関係
AIは人間に自由をもたらすものなのか? ビッグテックの発達の歴史を振り返っている。パーソナルコンピューターの発明は、コンピューターの解放だった。1990年代にはインターネットの波が押し寄せた。まさに「アンチ支配」の象徴だった。
ところが2000年代なかばに入ると、検索エンジンとSNSの進化と普及により、ネットの「隠れ家」感は急速に薄れ、すべてが可視化されるようになった。さらに、プラットフォームという概念が登場。情報のやりとりが完全な「双方向」に変わった。この変化は当時、「Web2.0」と呼ばれた。情報の流通が「垂直統合」から「水平分離」へと移行したのだ。
マスコミによる垂直統合は破壊され、個人が自由に発信できる時代になったと歓迎されたが、2010年代にAIが急速に進化すると、AIによる新たな「垂直統合」が起きた、と指摘する。
わかりやすい例が、動画配信サービスのネットフリックスだ。
AIとデータによって「どんな作品がどの利用者に好まれるか」を分析し、練り上げた作品について、それを好むであろう利用者に送り届けるというビジネスは、「下からの垂直統合」だという。フェイスブックも同様の構造だと説明している。つまり、「Web2.0」は、いまやプラットフォームによる「支配と隷従」になったと。