正社員・非正社員ともに「賃上げ」する企業ほど採用に積極的
さらに、企業が「どのような職種の人材を求めているか」(複数回答)聞いたところ、販売、営業職などの「販売の職業」が42.1%でトップとなった。
次いで、開発・製造技術者などの「専門的・技術的職業」(33.9%)、一般事務員などの「事務的職業」(20.8%)、役員や管理職などの「マネージメント職」(20.7%)が続いた。【図6参照】
ほかにも、システムエンジニアや通信ネットワーク技術者などの「IT関連の職業」(16.4%)や「建設・採掘の職業」(15.1%)、データサイエンティスト、データエンジニアなどの「データ分析・技術職」(7.6%)と幅広い。
ところで、2023年度に賃上げを見込んでいる企業をみると、63.9%が正社員の「採用予定がある」。その一方、「採用予定はない」企業は44.3%にとどまり、採用予定の有無と賃上げの実施割合をみると、19.6ポイントの開きがあった。
非正社員でみると、「採用予定がある」企業の賃上げ割合は37.0%で、「採用予定はない」企業の賃上げ割合(15.4%)より、じつに21.6ポイントも上回っていた。【図7参照】
調査によると、賃上げと採用予定には緩やかな相関関係がみられ、賃上げ割合が1ポイント上昇すると採用予定割合が0.5ポイント上昇するという傾向が表れていたという。企業からは、こんな声が――。
「人手不足感があるが、採用レベルを下げずに雇用を進める。特にパートタイム勤務者について近隣地域の賃金を調査し、見劣る部分は時給を上げる」(医療用品製造、栃木県) 「今年度は雇用条件(賃金)をアップしてハローワークへ提出したものの、応募が高齢者以外はない状況」(冷暖房設備工事、岐阜県)
帝国データバンクは、
「採用において賃金など条件面で苦慮している企業は多くみられたが、人手不足が再び高まる中で、よりよい人材の確保が生き残りのための重要な要素になる。とりわけ中小企業でも正社員採用を『増やす』企業が4社に1社にのぼるなど、人材の獲得競争が一段と強まっていく可能性がある」
と指摘している。