【2023年度の雇用動向】賃上げ実施企業は、雇用も前向き 正社員の採用「予定」企業はわずかに増加

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正社員「採用予定がある」 トップは82.8%で「医療・福祉・保健衛生」

   一方で、「採用予定はない」と答えた企業は26.1%で、前年度から1.3ポイント減った。「わからない」は10.9%だった。調査では、

「電気代・燃料代の高騰で雇用に回せる余力がない」(洗濯、群馬県)
「地方の中小企業で正社員を採用するのは、非常に厳しくなっている。さらに賃上げ圧力や利益の減少など難題も多く、採用できても維持していけるか疑問である」(ガソリンスタンド、山形県)

といったコメントがあるように、原材料費や人件費などコストの高騰で経営が圧迫され、従業員を雇う余裕がない企業もあった。

   また、正社員の「採用予定がある」企業を規模別にみると、「大企業」が86.3%を占めた。その一方で、「中小企業」は58.7%、「小規模企業」は41.8%で、企業規模が小さいほど採用を抑える傾向が強い。

   業界別にみると、「運輸・倉庫」が70.0%で最も高くなった。次いで、「サービス」が69.0%、「建設」が68.1%で続いた。なかでも、「サービス」は約3社に1社が採用人数の増加を見込んでいる。

図3 「医療・福祉・保健衛生」や「旅館・ホテル」は採用に積極的(帝国データバンク調べ)
図3 「医療・福祉・保健衛生」や「旅館・ホテル」は採用に積極的(帝国データバンク調べ)

   さらに、業種でみると、「医療・福祉・保健衛生」では82.8%と、8割超の企業が採用を予定しているほか、「旅館・ホテル」が79.3%、「輸送用機械・器具製造」の76.8%も8割近くにのぼる。「人材派遣・紹介」では、採用を「増加する」企業は42.3%となった。【図3参照】

   企業からは、「賃上げを踏まえ、採用計画を思案中」(一般病院、長崎県)といった前向きな声が聞かれた。その半面、たとえば、

「サービス業の中小零細企業にとっては新卒採用はもとより、中途採用も難しく、大変厳しい状況になってきている。理由は採用時の賃金などの条件面の優遇が些少しかできず、大企業も新卒採用を再開しているため、こちらへの応募が少ない。また、コロナ禍でサービス産業に対するイメージが悪く、業界的に働きたい職種ではなくなっている」(旅館、島根県)

というように、人材が集まらず厳しい状況にある企業も多くみられる。

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