相手に不快感を与えない心構えを
「おもてなしの心」のなかで特に留意したいのは、マナーはあくまでも相手の立場に立って考えるものだということです。たとえ自分が「おもてなし」の気持ちで選んだ服装や言動であっても、対面したお客様や取引先がどう感じ受け止めるかが肝心。相手によい印象を持ってもらえること、不快感を与えないことが大切だという点をしっかり理解してもらいましょう。
自分がよかれと思っても相手に違和感を持たれるようでは、結果としてマナー失格です。
服装で言えば、まだ学生感覚が抜けない新入社員は、同世代の視点で見て何が好まれるかで、自分のファッションを決めることになりがちです。今までの学生の立場は、学費を払って授業を受ける消費者の立場。しかし、これからは商品やサービスをつくり買って頂く生産者やサービス提供者の立場です。180度意識を変えることが大切なことを、十分に理解してもらいましょう。あくまで顧客目線、相手目線に立って、謙虚に自分のマナーをチェックし修正していく心構えが不可欠だと伝えましょう。
そして、マナーに関する上司や先輩からの注意も、決して上からの趣味・趣向を押し付けているのではないこと。顧客目線でのマナーに近づけるためのアドバイスだと、理解してもらいましょう。
では、新入社員にマナーを教えるうえで、さらにどのようなポイントがあるか。<身だしなみ、挨拶、電話応対など、対面接遇に不慣れなデジタルネイティブ新入社員...どう教える?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE25(後編)】(前川孝雄)>で、解説していきます。
※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。
【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授
人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等30冊以上。最新刊は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)。