売り手市場の中、どうしたら「ふさわしい人材」を採れるか?

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   3月1日から来年大学を卒業する学生に向けた会社説明会などが本格化した。売り手市場と言われる最近の採用市場。本書「すごい採用」(技術評論社)は、選ばれる会社になるための考え方やノウハウを説いた本だ。「ふさわしい人材が採れない」「若手社員がすぐに辞めてしまう」など、人事の悩みを抱えるビジネスパーソンに勧めたい。

「すごい採用」(大谷昌継著)技術評論社

   著者の大谷昌継さんは、東京大学経済学部卒業。ソフトバンクを経て、オイシックスに入社。2005年から人事を担当。2014年にウォンテッドリーに人事責任者として入社。現在、採用から労務、人事制度など人事全般を業務としている。

労働者の需給バランスが崩壊

   国立社会保障・人口問題研究所がまとめた推計によると、ピーク時には8000万人以上いた生産年齢人口は、2030年には6700万人ほどまでに減少すると見込まれている。

   パーソル総合研究所は2030年には7073万人の労働需要に対して644万人もの人手不足が生じると推計。これは、2017年時点での人手不足数121万人の5倍以上の数字だ。

   労働者の需給バランスが崩壊し、「足切りありき、数ありきでその中から適当にふるいにかけるという既存の採用手法」は成功しづらくなってきている、と指摘する。

   労働人口の減少によって、「企業の優位」がいたるところでひっくり返りつつあることが、人材難時代の正体だという。今や企業は「選ばれる側」の立場になったのだ。

   したがって、合同説明会に出展すれば、あるいはエージェントに予算を渡せば、求めている働き手が自ずと集まってくれるような状況ではなくなってきた。

   さらに、転職することが一般的になっている。自分の求めているスキルや経験が得られるかどうかが求職者にとって、大きな意味を持つようになった。こうした変化に気づかずに採用活動を続けていると、以下のような最悪のシナリオになるという。

   それは、採用母集団の規模をとにかく追うことだ。

   とにかく数を集めれば、その中にピンとくる人がいるはずだ、という確率論的な考え方は、労働人口が減る時代との相性が最悪だという。母集団を増やしても、結局自社にマッチする人材がその中に一定の確率でいるという保証はどこにもないからだ。

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