新年度を前に、企業は転勤や配転、人事異動であわただしい時季を迎えている。なかでも、転勤となると、今の住まいをどうしようかと、頭を痛めるビジネスパーソンは少なくないだろう。
そんな転勤とマイホームについて、ビジネスパーソンに聞いた調査がある。それは、信頼できる不動産売買のプロがわかるサイト「おうち売却の達人」を運営する全国不動産売却安心取引協会がおこなったもの。
対象は、全国の30歳以上50歳未満で世帯年収が500万円以上の会社員(正社員)の子供がいる既婚男性2993人で、この調査によると、約半数の人が、内示が出た時に住んでいた持ち家をそのままにして、「単身赴任」したり、「空き家」にしたりしていることがわかった。2023年3月16日の発表。
内示が出た時に住んでいた家は、約4割が戸建ての持ち家
調査によると、会社員(正社員)の半数弱が「転勤経験があり」、このうち3割超が2回以上の転勤の経験あることがわかった。
「転勤の経験はあるか?」との問いに、「1回あり」と答えた人は14.5%、「2回あり」が9.2%、「3回あり」は7.0%だった。「4回あり」は3.8%。「5回以上あり」の人も13.2%にのぼった。
転勤を経験したことがある人は47.7%いることがわかった。転勤経験「なし」は52.3%だった。【図1参照】
転勤の経験がある人に「内示が出た時に住んでいた家の種類は何か?」と聞いたところ、転勤回数にかかわらず、最も多かったのは「持ち家(戸建て)」(転勤1回の人:38.9%、複数回:42.3%)だった。次いで、「賃貸(集合住宅)」(1回:30.1%、複数回:33.3%)だった。
転勤経験が1回の人は「持ち家(集合住宅)」が13.3%で第3位。複数回の人は「持ち家(集合住宅)」(14.0%)よりも「社宅・寮」の19.4%(1回:8.1%)のほうが多く、こちらが第3位となった。
調査からは、半数以上の転勤経験者が、転勤の内示が出た時、持ち家に住んでいたことがわかったほか、企業によっては転勤者の借上げ社宅制度があるため、転勤の経験が複数回ある人は「社宅・寮」の割合が多いことが考えられる。【図2参照】
持ち家の会社員は、転勤発令後「単身赴任」になる傾向
調査では、持ち家(戸建て・集合住宅)に住んでいた転勤経験者に「内示が出た時に住んでいた持ち家はどうしたか?」聞いたところ、こちらも転勤回数にかかわらず、最も多かったのは「単身赴任」(転勤1回の人:52.4%、複数回:46.9%)。次いで、「そのまま維持(空き家に)した」(1回:32.6%、複数回:39.9%)となった。
第3位には、転勤1回の人は「売却した」の7.5%、(複数回:5.8%)が続いたが、複数回の転勤している人は8.5%が「賃貸に出した(普通借家契約)」(1回:6.2%)と答えた。【図3参照】
調査によると、「転勤が決まったけど、家はどうしよう......」と迷ったものの、転勤の内示が出た時に持ち家を売却した人は1割に満たなかった。
ただ、「おうち売却の達人」は、「転勤が決まったら、まず確認することがあります」という。
それは、(1)転勤(赴任)の期間や、(2)社宅や住宅補助の有無(3)住宅ローンの残債(4)家族の意向(子供の学校や進学、夫婦の仕事や人間関係などの調整)--この4つを確認。そのうえで、持ち家を「売却する」か、「賃貸に出す」「空き家にする」「単身赴任」から選択することが考えられると、アドバイスしている。
どれを選んでも一長一短 アナタなら、どうする?
仮に、住んでいる持ち家を売却する場合でも、ローンの残債額によっては売却できないし、売却額によっては損失が出る可能性もある。
また、賃貸に出す場合でも、持ち家を手放さずに済んだり、家賃収入を得られるメリットは見込めるが、入居者が決まらなければ、空き家になったり修繕費がかかったりするリスクが高まる。家賃滞納など入居者とのトラブルが起きる可能性も、ないとはいえない。
空き家になれば、持ち家の住宅ローンと転勤先の家賃の二重払いになったり、持ち家の廃墟化や治安悪化のリスクにつながったりするリスクもある。
単身赴任は家族が持ち家に住み続けるため、子供の転校や家屋の維持管理などの問題が発生することはないが、家族と離れ離れで暮らすことになる。どれも一長一短あるということのようだ。
なお、調査は全国の世帯年収500万円以上で建設、金融・証券・保険、不動産、サービス、運送・輸送、商社・卸売り・小売業に勤務する、子供のいる既婚の会社員(正社員)の男性(30歳以上50歳未満)を対象に、2023年3月6日にインターネットで実施した。サンプル数は、2993人。